理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
会議情報

一般演題 ポスター
当院における新生児への理学療法の取り組み
小杉 正大垣 昌之欅 篤
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. Gb1447

詳細
抄録
【はじめに、目的】 周産期医療の進歩により新生児の死亡率は低下している。それに伴い低出生体重の新生児は増加傾向にある。そのような新生児は未熟さからくる神経学的障害や発達遅滞をもつ可能性が高くなるといわれており、早期発見、早期治療を行うためにも早期からの理学療法の介入が必要であるとされている。当院においてもNICUにおいては看護師中心にNIDCAP(Newborn Individualized Care Assessment Program)を用いた介入が行われてきたが、理学療法の介入は不十分な状態であった。理学療法の介入を早期から行うため、理学療法科の体制を整える取り組みを行ってきた。今回、その過程に考察を交えて報告する。【方法】 対象は2009年4月1日~2010年3月31日に入院されたNICU、GCUから理学療法処方のでた新生児(A群とする)と2010年4月1日~2011年3月31日に入院されたNICU、GCUから理学療法処方の出た新生児(B群)を処方が出た時の修正週数、処方時体重、出生時体重、介入内容について調査し、統計学的な比較を行った。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者の家族には本研究の主旨を説明し、同意を得た。【結果】 当院の取り組みとしては新生児対応できるスタッフを3名と固定。2010年2月よりNICUカンファレンス、GCUカンファレンスへの定期的参加開始、2010年11月よりの運動発達や哺乳の評価方法の導入を行った。運動発達の評価として新生児期はDubowits新生児神経学的評価を採用し、新生児期以降の患児にはAlberta Infant Motor Scale(AIMS)を採用した。哺乳の評価には長野県立こども病院で使用している哺乳アセスメントを参考にした。処方件数はA群で18件、B群で51件であった。処方時の修正週数はA群で平均47.2±18.5週、中央値41日(内、超低出生体重児のみでは8件、平均42.1±4.3週、中央値41週)、B群で平均41.1±11.3週、中央値38週(内、超低出生体重児のみでは20件、平均38.9±7.2週、中央値38週)、処方時の体重はA群で平均 3419.3±2120.2g(内、超低出生体重児のみでは平均2697.7±665.4g )、B群で平均2794.7±1918g(内、超低出生体重児のみでは平均2236.4±872.1g)、出生時体重は、A群で平均1751.1±1030.7g(内、超低出生体重児のみでは平均662.9±142.1g)、B群で平均1400.2±976.6g(内、超低出生体重児のみでは平均689.4±181.1g) となった。理学療法介入内容は1;哺乳方法の確立、2;運動発達評価、促進、3;呼吸理学療法で分類(重複あり)し、A群では1;7件(処方件数に占める割合い:38.9%)2;16件(同:88.9%)3;3件(同:16.6%)、B群では1;28件(同:54.9%)2;46件(同:90.2%)3;5件(同:9.8%)となった。A群とB群、ならびに超低出生体重児のみに絞ったA群、B群の各項目について統計学的比較を行い、危険率5%未満を有意差があるとした。介入時修正週数、介入時体重、出生時体重ともにA群、B群間で有意な差を認めなかった。しかし、超低出生体重児のみの場合は介入時修正週数、介入時体重ともにB群が有意に低値となっており、2010年度のほうが超低出生体重児では早く処方が出るように、またより体重が小さい患児に処方がでるようになった。また理学療法内容では2010年度で哺乳の処方の割合が増加することになった。【考察】 定期的にカンファレンスに出席することにより、NICU、GCUで医師、看護師と情報共有が図れた。その結果、介入が必要な患児の情報が以前よりも早く得ることができ、処方する際の週数が早くなったと考える。その結果、処方時体重も低値となったと考える。また運動発達や哺乳について、定量的、定性的な評価を採用し、運動発達などの障害の有無や程度が客観的に評価でき、発達の経過を追うことができるようになった。そのことにより、医師や看護師に理学療法内容が伝わりやすくなったことで、患児の状態を主治医、看護師と共有できるようになり、信頼関係を深めることができたことも影響していると考えられる。【理学療法学研究としての意義】 新生児に対し早期からリハビリテーション医療が介入できる体制を整えることは、患児やその家族により安心した質の高い療養環境を提供するためにも重要である。今回、当院における取り組みがその参考になると考える。
著者関連情報
© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top