理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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専門領域 口述
「理学療法における臨床能力評価尺度」の信頼性と妥当性の検討
芳野 純臼田 滋
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キーワード: 継続教育, 評価尺度, 妥当性
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p. Ge0067

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抄録
【はじめに、目的】 教育において評価は必須であるが、理学療法士の臨床能力を評価する評価尺度は存在しない。本研究の目的は、理学療法士の継続教育に活用するための「理学療法における臨床能力評価尺度(Clinical Competence Evaluation Scale in Physical Therapy:以下CEPT)」の信頼性と妥当性を検証することである。【方法】 CEPTは、先行研究である、自立した理学療法士の能力に関する質的研究の結果を参考に開発した。CEPTは、7つの大項目(理学療法実施上の必要な知識・臨床思考能力・医療職としての理学療法士の技術・コミュニケーション技術・専門職社会人としての態度・自己教育力・自己管理能力)と53個の評価項目で構成された、4段階(合計53~212点)の評価尺度である。段階は評価項目に対して、多くの指導が必要な状態を1点、ある程度の指導が必要な状態を2点、指導を必要としない状態を3点、他者の模範になる状態を4点とした。CEPTは先行研究により、中等度~高い検者内信頼性が確認されている。調査対象は、21の医療施設に所属する理学療法士とし、資格取得後の経験年数が3年未満の職員(以下:被指導者)と、経験年数が3年以上で、他者を指導する立場にある職員(以下:指導者)とし、被指導者は自己評価を、指導者は被指導者に対する他者評価を実施した。53項目以外に、全般的な能力評価として、被指導者が理学療法士としてどの程度自立しているかに関して、Visual Analogue Scale(以下:VAS)により評価をした。さらに評価者が、CEPTが妥当であると思うかについての質問を、4段階(十分評価している~全く評価していない)で評価した。解析は、内的整合性を被指導者、指導者ともにCronbachのα係数にて求めた。基準関連妥当性として、被指導者および指導者の評価結果の合計点数と、被指導者の理学療法士の経験期間(ヶ月)・全般的評価のVASの相関を、被指導者、指導者各々で、Pearsonの相関係数にて算出した。さらに、被指導者の結果のみ因子分析を行った。因子抽出法は一般化した最小2乗法を用い、回転は直接オブリミンにて因子負荷量を求めた。因子数はスクリープロット基準から判断した。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は群馬大学医学部疫学研究に関する倫理審査委員会より承認を得ている。無記名にて実施したため、対象者に対して書面にて研究内容を説明した。研究への同意は、施設管理者のみ同意を得て、対象者個人に対して同意書作成はせず、研究への協力をもって同意を得たものとした。【結果】 対象者数は、被指導者278名、指導者119名。平均経験期間(SD)は、被指導者1.4(0.9)年、指導者7.1(2.7)年であった。Cronbachのα係数は、被指導者0.96、指導者0.97であった。評価表の合計点数と、経験期間の相関係数は、被指導者r=0.33、指導者r=0.46。評価表の合計点数と、VASの相関係数は、被指導者r=0.83、指導者r=0.87であった。因子分析の結果は、因子数はスクリープロットより2因子と判断できた(累積寄与率45.6%)。因子パターン負荷量の基準値を0.4とした場合、第1因子は、理学療法実施上の必要な知識・臨床思考能力・医療職としての理学療法士の技術の、3つの大項目に含まれる評価項目にて構成された。第2因子は、専門職社会人としての態度・自己教育力・自己管理能力の、3つの大項目に含まれる評価項目にて構成された。大項目のコミュニケーション技術は、第1・2因子両方の因子負荷量が高かった。CEPTが妥当であるかについての質問は、被指導者93.6%、指導者91.6%が、十分または概ね評価していると回答した。【考察】 Cronbachのα係数からCEPTは高い内的整合性があると考える。CEPT合計点との相関は、経験期間と全般能力のVASともに相関があった。因子分析の結果、第1因子に含まれる項目は、認知領域と精神運動領域に分類されるものであり、「理学療法士としての専門性」に関するものと考えられる。第2因子に含まれる項目は情意領域に含まれるものであり、「専門職としてのあるべき姿」に関するものと考えられる。CEPTが妥当であるかについての質問は、9割以上が妥当であると回答していた。以上の結果から、CEPTは信頼性および妥当性があると考える。【理学療法学研究としての意義】 理学療法士の継続教育を充実には評価尺度が不可欠である。今回、先行研究により開発された、CEPTの信頼性と妥当性を確認した。CEPT活用することにより、理学療法士の質の向上に貢献するものになると考える。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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