理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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地域リハビリテーション支援センターによる圏域内在勤療法士に対する新人教育の取り組み
井出 大石濱 裕規渡邉 要一中澤 幹夫佐々木 良渥美 幹子倉田 考徳
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p. Gd1494

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抄録
【はじめに】 東京都南多摩圏域地域リハビリテーション支援センターは、平成15年7月から、5市(八王子市、町田市、日野市、多摩市、稲城市)総人口約143万人における地域リハビリテーション支援事業を行っている。事業の企画立案は19の医療機関・施設、2つの地域包括支援センター、1大学による連絡会議で行われ、平成21年度より圏域内地域連携強化、卒後教育の充実を目的に療法士の新人教育を行なってきた。背景として当センターが受託した平成17年~19年の東京都委託事業「南多摩圏域脳血管疾患医療連携検討会」において脳卒中患者の約8割が圏域内を循環完結していることが分かった。それゆえ、1人の患者を多施設、複数の療法士で担当している実情をふまえた「顔の見える連携」の推進、圏域内の優秀な人材を講師活用と教育スキル向上、新人療法士への圏域内他施設訪問機会の提供という3つの目的から本事業が開始された。今回は本事業の報告ならびに満足度調査の結果を報告する。【方法】 新人教育研修会は平成21年が年4回、22年度が年5回の頻度で実施した。開催場所は担当講師所属の医療機関、研修時間は平日夜の1時間30分、受講資格は原則経験年数1年目~3年目のPT、OT、STとした。研修内容は、平成21年度が「バイタルサインの見方」、「呼吸リハ」、「摂食嚥下リハ」、「福祉用具」で、22年度では「画像の診かた」、「脳卒中の評価と治療」、「心疾患とリハ」、「関節可動域訓練」、「高齢者とのコミュニケーション方法」であった。満足度調査については研修会各回終了直後に受講者に対し調査票への記載を依頼した。調査項目は、1)性別、2)年齢、3)職種、4)経験年数の属性と、5)講義満足率「研修会の講義の内容は満足できると思うか?」、6)活用「今日、学んだことを明日から生かせると思うか?」、7)獲得知識率「今回の研修で初めて得た知識の割合は何割程度か?」、8)全体満足率「研修会全体を通じて満足できたと思うか?」とした。また項目5)~8)については職種、経験年数との関連について検討した。【倫理的配慮】 本事業に関する説明と同意を口頭にて行い、各調査票については氏名・所属を無記名とし、事務局にて厳重に保管した。【結果】 受講者数は、平成21年度が211名(1~4回各68、60、58、 25名、平均52.8名)、22年度は383名(1~5回87、81、89、83、43名、平均76.7名)であり、計594名の受講者を得た。満足度調査の有効回答件数は581件で回収率は97.8%であった。属性は性別(男性46.3%、女性53.7%)、平均年齢24.5±5.2歳、平均経験年数は2.3±2.2年、職種別ではPT53.9%、OT32.7%、ST11%、その他2.4%であった。満足率は、5)講義で93.2%、6)活用で92.0%、8)全体では87.1%であった。7)獲得知識率は、5.16割であった。また職種間満足率は、5)講義ではPT96.8%、OT90.5%、ST85.7%、6)活用ではPT95.2%、OT89.9%、ST84.4%、8)全体ではPT90.1%、OT85.3%、ST78.1%の結果が得られた。5)講義満足率については、PTOT間(p<0.05)、PTST間(p<0.001)で差が認められた(χ2検定)。さらに経験年数間満足率(1年目、2年目、3年目)は、5)講義では1年目94.5%、2年目91.2%、3年目92.9%であり、6)活用は1年目93.5%、2年目88.4%、3年目90.6%で、8)全体は、1年目88.5%、2年目82.3%、3年目88.2%という結果が得られた。この結果からは経験年数の違いによる満足率への影響は認められなかった。開催年度と満足率との関連は、5)講義では平成21年度が99.6%、22年度が89.2%で、6)活用で平成21年度99.1%、平成22年度87.5%、8)全体では平成21年度95.1%、22年度81.9%であり、年度の違いによる影響について、満足率各項目で有意差が認められた(p<0.001)(χ2検定)。【考察】 本事業は開催初年度より高い満足率に支えられ、平成23年度も継続開催(年8回)を予定している。平成22年度から定員を増員し開催しているが、毎回定員超が続いており、受講者数増が研修全体の満足率低下の一因であり、対策の必要性が示唆される。またテーマに理学療法関連内容が多かったことが、職種間満足率に影響したと考えられる。研修内容の難易度は1~3年目の療法士が知るべき知識、技術を前提としたが、獲得知識率が約5割という結果は、難易度の影響か、卒前卒後教育の影響かは不明だが、対策は必要である。今後の課題として、目的の一つである地域連携の啓蒙について効果判定を行う必要がある。【理学療法学研究としての意義】 昨今の医療情勢よりリハビリテーションは施設内連携のみならず、患者様を共有する多施設間連携が重要となってきた。そのなかで療法士の卒後教育に顔のみえる地域連携を地域リハ支援センターが担い、その効果を検証することは重要と考えられる
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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