理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: G-O-02
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一般口述発表
臨床実習にクリニカルクラークシップを導入する方法論の模索(第1報)
大寺 健一郎
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抄録
【はじめに】当学院では、平成24年度臨床実習からケースレポート作成を任意とし、臨床実習指導者(SV)会議にてクリニカルクラークシップ(CCS)による実習指導をSVに紹介、積極的な啓蒙活動を行った。その後の実施状況の把握と、CCSを現場に導入していくための方法論を明らかにするためにアンケートを実施した。その集計結果から今後の実習指導の方向性に一定の知見を得たので報告する。【目的】養成校側からのCCS導入がどの程度臨床現場に浸透し、実施されたかを確認する。またCCSの有効性をSVと学生の双方から検証し、今後の実習指導方法の在り方と方向性を探る。【方法】CCSの概念と具体的な導入方法を簡単に紹介するマニュアルを作成し、平成24年度のSV会議にて配布、説明を実施した。CCSの導入状況を把握するため、実習終了時にCCSに関するアンケートをSVに実施し、実習指導方法(3種類)、ストレスの程度(4段階)、今後の実習指導の方向性(5種類)を調査した。また学生には、実習指導方法、ストレスの程度、臨床実習の達成感評価(7項目7件法)をアンケート調査した。有効回答数は2期分で、実習施設のSVが120件、当学院の理学療法学科昼・夜間部最終学年の学生が149件であった。調査の結果の分析にはMicrosoft Excel 2010とフリーソフト”R” ver2.11.1を用い、基本統計およびχ2乗検定(α=0.05)、主成分分析を行った。 【倫理的配慮、説明と同意】ヘルシンキ宣言に従い、アンケート調査に際してはSVにおよび学生に研究を目的として行うこと、個人情報などの漏洩がないことを説明し同意を得た。【結果】SVへのアンケート調査では、実習指導方法はA.レポート指導が54%、B.CCSが32%、C.レポート指導とCCSの併用が14%となった。この3つの指導方法について、ストレスの程度を組み合わせ別にχ2乗検定を実施した結果、AとBの間に有意差が認められたが(p<0.05)、AとC、BとCの間には認められなかった。また今後の実習指導の方向性については、「従来通りのレポート指導を行う」が10%、「CCSを検討する」が24%、「レポート指導とCCSを併用する」が47%、「CCSを実施する」が14%、「その他」が5%となった。またAを実施した理由として、評価と治療を進めるツールとしてレポートを使用し、学生の理解度を知るために有効であるという内容の意見が23%と多かった。学生へのアンケート調査では、SVと同様に3つの指導方法でストレスの程度を検定した結果、有意差はAとB(p<0.01)およびAとC(p<0.05)に認められたが、BとCの間には認められなかった。また指導方法別の達成感について主成分分析を行い、第1主成分を総合的な達成感評価として比較したところ、Aでは「SVやスタッフとの信頼関係構築」「レポート作成や症例発表」「サマリー作成やSVとのディスカッション」の順に主成分負荷量が高かった。Bでは「臨床での評価と治療の実践」「助手的な仕事」「SVやスタッフとの信頼関係構築」の順に高かった。Cでは「サマリー作成やSVとのディスカッション」「SVやスタッフとの信頼関係構築」「レポート作成や症例発表」の順に高く、その他に「患者との信頼関係構築」「臨床での評価と治療の実践」も高かった(A,B,Cいずれも主成分負荷量の絶対値が0.8以上)。【考察】実習指導方法はレポート指導が過半数の実施率であり、臨床現場ではレポート指導が主流であった。しかし今後の実習指導の方向性をみると、約8割のSVからCCSの導入に前向きな回答が得られた。さらにCCSがストレスを感じにくいという結果からも、潜在的にSVがCCSの有効性を感じていることが裏付けられた。指導方法別にみた学生の達成感評価に対する寄与度は、レポート指導ではSVと学生との関係やレポート作成、症例発表が中心であったが、CCSでは臨床での実践と助手的業務が中心であった。この結果はCCSが適切に実施されており、学生が臨床経験を通じて達成感を持つことができたことを示唆している。よってSV会議での啓蒙は一定の成果があったとみられる。また学生のストレスの程度は、CCSで著明にストレスが軽減されおり、レポート指導との併用でも有意であった。これはCCSが実施されれば、SVと学生が低いストレスで有効な臨床実習を実施できる可能性があることを示唆している。一方、CCSの導入を推進するための課題はレポート指導とCCSの併用であり、これを解決するためには学生の理学療法に対する理解度を簡便に評価できるツールの整備が必要である。【理学療法学研究としての意義】本研究で、CCSに対してSVは有効性を感じていること、学生も臨床経験を通じて達成感を持てる実習指導方法であることが分かった。さらに導入を推進するために、レポートの替わりとして、学生の理解度を簡便に評価するためのツールの開発を検討し、CCSを核とした実習指導の方法論をバージョンアップしていく。
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© 2013 日本理学療法士協会
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