理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: A-O-18
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一般口述発表
脳卒中片麻痺患者の下肢痙縮筋に対するModified Modified Asworth Scale の検者間信頼性について
高橋 博愛荒牧 健太池永 勇二吉村 直人永吉 美砂子
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抄録
【目的】脳卒中片麻痺患者の痙縮の評価法としてModified Asworth Scale(以下MAS)は、一般的に使用されている。また、MASは信頼性の検証も数多く報告されているが、特に下肢筋の痙縮評価としての検者間信頼性については、ばらつきがある。一方でModified Modified Asworth Scale(以下MMAS)は、検者間信頼性が高いという報告が散見されるが、本邦での報告は見当たらない。そのため、今回、脳卒中片麻痺患者の下肢痙縮筋に対するMMASの検者間信頼性を評価した。【方法】対象は、発症より2 カ月以上経過した一側脳病変にて当院入院中あるいは外来通院中の脳卒中片麻痺患者とした。また、検者は、対象者の理学療法を担当していない理学療法士2 名とし、MASの原典(Bohannon、1987)の検査法を参考として、対象者の麻痺側膝関節伸筋および足関節底屈筋の痙縮評価を端座位で実施し、2 名の評価結果を比較検討した。なお、検者は、各々の評価結果が他検者の参考とならないよう配慮した。【説明と同意】対象者に対して口頭にて説明を行い、同意を得た患者を被検者とした。また、データは個人が特定されないように配慮した。【結果】26 名の対象者に対して臨床経験4 年の理学療法士(以下検者A)および臨床経験3 年の理学療法士(以下検者B)がMMASの評価を実施した。対象者の平均年齢は、64.9 ± 10.0 歳、男性23 名、女性3 名、疾患は、脳梗塞14 名、脳出血12 名、障害側は、右片麻痺13 名、左片麻痺13 名、発症からの平均日数は、2120.3 ± 335.0 日、Stroke Impairment Assessment Setの下肢機能は、下肢近位(股)2.9 ± 0.9 点、下肢近位(膝)2.8 ± 1.00 点、下肢遠位1.2 ± 1.5 点、関節可動域は、膝関節の屈曲136.4 ± 6.9°、伸展−1.4 ± 3.9°、足関節の背屈12.8 ± 7.5°、底屈50.8 ± 0.9°であった。評価結果の一致率は61.5%(膝関節伸筋65.4%、足関節底屈筋57.7%)、不一致例は20 例であり、そのうち15 例が検者Bの評価結果で重いgradeであった。2 名の検者間の相関は、Spearmanの順位相関係数にてrs=0.779、P<0.001(膝関節伸筋rs=0.713、P<0.001、足関節底屈筋rs= 0.750、P<0.001)であり有意な相関であった。Cohenの一致係数は、κ=0.471、95%信頼区間0.309 〜0.632(膝関節伸筋κ=0.462、95%信頼区間0.190〜0.735、足関節底屈筋κ=0.385、95%信頼区間0.156〜0.614)であり、中等度の一致(moderate)であった。【考察】脳卒中片麻痺患者の痙縮の評価法として検者間信頼性が高いとしたMASの先行研究(辻、2002)では、評価結果の一致率は、58.7%(膝関節伸筋69.6%、足関節底屈筋47.8%)、Cohenの一致係数は、κ=0.517(膝関節伸筋κ=0.574、足関節底屈筋κ=0.392)であり、本研究でのMMASの一致率およびCohenの一致係数は、前述の先行研究でのMASと同等であった。また、不一致例の20 例のうち19 例は1grade以内であり、今回の結果(Spearmanの順位相関係数、Cohenの一致係数)よりMMASは、簡便かつ検者間信頼性のある評価法であると考えられた。【理学療法学研究としての意義】痙縮の病態生理について不明な点は数多くあるが、脳卒中片麻痺患者の理学療法において痙縮による筋緊張亢進が、疼痛や歩行時の反張膝など日常生活活動に影響する問題点として挙げられることが多い。そのため、痙縮は、理学療法治療介入やボツリヌス療法などの薬物療法の対象となる主たる機能障害のひとつであり、これら治療の効果判定を客観的に行う上で痙縮評価の信頼性の検証は重要と考えられた。
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© 2013 日本理学療法士協会
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