理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-P-09
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ポスター発表
高齢者における安定した支持面および不安定な支持面上での姿勢制御能力と生活活動量との関連
髙畑 亜季子池添 冬芽
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抄録
【はじめに、目的】高齢者の生活活動量は立位姿勢制御能力との関連が強いとされており、安定した支持面上での姿勢制御能力との関連については多く報告がなされている。一方、日常生活においては不整地など不安定な支持面上での姿勢保持や動的な姿勢制御能力が重要であるが、そのような不安定な支持面での姿勢制御能力と日常生活活動量との関連については明らかではない。そこで本研究は、高齢者における安定した支持面および不安定な支持面上での静的および動的姿勢制御能力と生活活動量との関連を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は施設入所高齢者19名(男性3名、女性16名、平均年齢20.9±1.3歳)とした。歩行が自立している者を対象とし、運動機能の測定に大きな影響を及ぼすほどの重度の神経学的障害や筋骨格系障害および認知障害を有する者は対象から除外した。安定した支持面上での姿勢制御能力の評価として、片脚立位保持時間、Functional Reach(FR)、Lateral Reach(LR)、立位ステッピングテストを計測した。不安定な支持面上での姿勢制御能力の評価として、上記の評価をバランスマット(酒井医療社製バランスパッド、厚さ7cm)上にて計測した。片脚立位保持時間は、利き足で開眼にて120秒を上限として測定した。FRは肩幅程度の開脚立位で利き手上肢を肩関節90°屈曲し、そこから指先の元の高さを保持したまま水平に最大限前方へ突出させることができる距離を測定した。LRは肩幅程度の開脚立位で利き手上肢を肩関節90°外転し、そこから指先の元の高さを保持したまま水平に最大限側方へ突出させることができる距離を測定した。立位ステッピングテストは立位にて5秒間できるだけ速く足踏みを行った際のステッピング回数を測定した。各項目ともに2回ずつ測定し、最大値をデータとして用いた。生活活動量の評価は、Bakerらによって開発されたLife-Space Assessment(以下LSA)を用い、過去4週間の活動範囲、活動頻度および自立度から点数を算出した。対象者をLSA24点をカットオフ値として低活動群と高活動群に分類し、2群間における各項目の測定値をMann-Whitney検定にて比較した。また、Mann-Whitney検定にて有意差が認められた項目について、活動量との関連を分析するために単変量ロジスティック回帰分析を行った。いずれも有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】すべての対象者に本研究の十分な説明を行い、同意を得た。本研究は測定機関の倫理委員会の承認を得て行われた。【結果】低活動群は11名(LSA: 8~24点; 平均14.95±6.59点)、高活動群は8名(LSA: 34~58点; 平均49.00±8.00点)であり、2群間の年齢に有意差はみられなかった。低活動群と高活動群の姿勢制御能力を比較した結果、片脚立位時間については安定した支持面および不安定な支持面ともに有意差が認められなかった。FR、LR、ステッピングについては安定した支持面・不安定な支持面ともに2群間に有意差が認められた。有意差が認められた項目について、ロジスティック回帰分析を行った結果、不安定な支持面上でのLR(オッズ比1.21、p=0.029)、安定した支持面上でのステッピング(オッズ比1.16、p=0.038)のみ有意な関連が認められた。【考察】安定した支持面・不安定な支持面ともにFR・LR・ステッピングでは低活動群・高活動群の2群間で有意な差が認められ、ロジスティック回帰分析の結果から、特に不安定な支持面上でのLRと安定した支持面上での立位ステッピングにおいて日常生活活動量と有意な関連が認められた。すなわち、高齢者における日常生活活動量は、静的な立位保持能力よりも動的な姿勢制御能力との関連が強く、特に不安定な支持面上での左右重心移動能力や立位で素早くステップする能力との関連が強いことが示唆された。本研究では施設内だけでなく屋外にも生活空間が拡大しているかどうかの目安としてLSA24点をカットオフ値に設定した。生活空間が屋外まで拡大することで、不整地歩行といった不安定な場面での動的姿勢制御能力やバランスを崩した時に素早く一歩を踏み出せる能力がより重要となることが考えられる。このため、不安定な支持面上での動的姿勢制御能力や立位ステッピング能力が低い高齢者においては生活活動量が減少し、生活行動範囲が狭小化していることが考えられた。【理学療法学研究としての意義】本研究の結果、虚弱高齢者の生活活動量の向上や生活空間の拡大には不安定な支持面上での左右方向の動的姿勢制御能力や素早いステップ能力が重要であることが考えられた。
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© 2013 日本理学療法士協会
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