2022 年 83 巻 5 号 p. 875-882
症例は初診時67歳の男性で,胃もたれ感を主訴に受診した.上部消化管内視鏡検査で噴門部付近の不整な隆起性病変を指摘され,生検で低分化腺癌と診断された.胃全摘術,D2郭清を行った.病理組織学的所見から大細胞型胃内分泌細胞癌,pStage IIbと診断された.術後補助化学療法として,カルボプラチンとイリノテカン併用療法を施行した.術後2年で孤立性脳転移を認め,サイバーナイフによる定位放射線治療を施行した.その後も脳転移への治療を繰り返し施行した.術後3年10カ月ごろ,正常圧水頭症を併発したため,腰椎くも膜下腔-腹腔シャント術を施行した.術後4年2カ月で原病死した.経過中リンパ節および他臓器への転移は認められなかった.大細胞型胃内分泌細胞癌の孤立性脳転移という非常に稀な症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.