理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-P-27
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ポスター発表
報告 東日本大震災・復旧復興期における、岩手県陸前高田・宮城県気仙沼地域での災害リハビリテーションボランティアの活動
伊藤 千晶三浦 秀幸景山 信子木村 佳晶藤本 幹雄
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抄録
【はじめに、目的】2011年3月11日の東日本大震災発生により、生活基盤が失われる中で災害のフェーズは復旧復興期に移行し、住民は生活の場を避難所から仮設住宅やみなし仮設等へと移した。今回は、岩手県陸前高田・宮城県気仙沼地域を中心とし、災害リハビリテーション(以下、リハ)ボランティアとして活動してきた当団体の報告をする。【方法】災害リハビリテーションネットワーク face to faceについて:震災後、インターネットを通し集まった、医療職種やボディワーカー等の集まる任意団体である。地域特性:岩手県陸前高田:人口19,725万人、面積232.29km、高齢化率34.9%、療法士数15人。宮城県気仙沼:人口67,937人、面積333.38km、高齢化率30.14%、療法士数36人。活動時期は2011年12月より気仙沼市、2012年5月より陸前高田市での活動を開始。活動内容は両地域に対し、常駐のコーディネイターとサブを各1名配置し、短期のボランティアを受け入れる形を取る。巡回型デイケアは、仮設集会場等で健康相談会や運動教室を行う。個別訪問では集会場に来ることのできない方を中心に回り、補装具・住環境整備、生活動作指導等を行う。実施地域は(2011年11月段階)14仮設、参加人数7.9±3.6人、年齢72.6±10.3歳、参加者の男女比率は男1:女5.4人。集約した情報は社会福祉協議会、ケアマネージャー、支援員等を通し地元の医療資源に繋げた。【倫理的配慮、説明と同意】今回の活動報告は倫理的配慮に注意し、個人のプライバシーが特定できる内容は記載していない。【結果】問題提起《地域構造》:〔震災前〕過疎・高齢化率の高い地域性、県の中心部からのアクセスのし難さ、東北固有の広大な面積、県境を跨いだ医療構造〔震災後〕被災による地域内でのアクセス格差、若い世代の人口流出《医療資源》:〔震災前〕リハを含めた医療資源(施設・人材)不足〔震災後〕病床数とサービス機能の減少、被災後に増加した要支援・要介護者の割合《生活環境構造・参加》:〔震災前〕職業がある。持ち家・庭・畑等を持ち、地区毎の共同体が維持されていた〔震災後〕職業の喪失、共同体の破壊と再構成、仮設住宅への移行に伴う環境の変化(住居内・外)、副次的な活動(畑等)機会の喪失、再編された自治会による差(仮設規模、世帯数、リーダーとなる人間の不在など)《他》:地方自治体による支援体制の差、季節と気候、性差【考察】東日本大震災発生時、多くの療法士が「自分ができること、すべき事は何か」と考えたと思う。災害医療・災害看護と言う言葉も在り、医師や看護師の個人や職能団体としての迅速な行動は素晴らしかったと感じるが、リハ職種に関しては「災害リハ」という視点が乏しく、対応は後手に回ったと感じざるを得ない。その中で、災害のフェーズは急性期から復旧復興期に入り、地域住民は生活の場を避難所から仮設住宅などへ移した。仮設住宅では、住宅内・外の環境による身体負荷の増加や、病院やスーパー等へのアクセス格差、地元共同体の破壊などが起こっている。例えば、ベッドを使い生活していた人が、仮設住宅の間取りが狭い為にベッドが置けず床で生活をし、関節痛を悪化させるケース等、仮設住宅の環境による身体負荷や活動制限を受ける人間が居る。それらに加え、地区毎の共同体が分断される形で仮設住宅への入居が決まる等、被災者を取り巻く人間関係の変化も、自宅への引きこもりや廃用症候群を引き起こす一因となっていると考える。又、地方自治体による支援体制の差もあり、宮城県石巻市では災害救助法の期限内に医療スタッフによる仮設の全戸調査を行い、制度内での住環境整備や福祉用具の支援をしたが、他自治体ではそれを知らずに期限を過ぎたという事もあった。ボランティアの支援時期について、過剰な支援は現地のエンパワーメントを阻害するのではとの声もあるが、災害リハの復旧・復興期は約1~3年と定義されており、今回が未曾有の広域災害である事からも、復旧・復興にはさらに多くの時間がかかると推測する。現地の状況は、医療過疎の被災という二重の問題の上に、被災者の廃用症候群が負荷される三重の形をとり始めて居る。医療過疎地が被災するというケースは、今後、全国のどこでも起こり得る問題である。災害リハビリテーションの啓蒙活動やフェーズ毎の支援体制をどのようにする必要があるか、自治体と連携しリハ職種が少ない地域での支援体制や、既存の制度や法律の中で療法士が関与できる事も見据えて、今後の防災と啓蒙、教育に活かして行く必要がある。【理学療法学研究としての意義】災害リハビリテーションのフェーズ毎の啓蒙。
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© 2013 日本理学療法士協会
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