理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: D-P-10
会議情報

ポスター発表
COPD患者におけるCS-30終了時の特徴
フィールド歩行テストの特徴と比較して
白仁田 秀一堀江 淳八谷 瑞紀今泉 潤紀渡辺 尚林 真一郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに、目的】我々の研究において、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対し、運動耐容能評価であるフィールド歩行テストと30秒間椅子立ち上がりテスト(CS-30)の有用な関係性が認められている。本研究の目的は、CS-30、6分間歩行距離テスト(6MWT)、Incremental Shuttle Waking Test(ISWT)の各運動負荷試験の特徴(各試験終了時の低酸素血症、脈拍数(PR)、自覚症状)を比較すること。また、各運動負荷試験とその特徴の関係性を分析することで、CS-30の運動耐容能評価としての可能性を検討することとした。【方法】対象は、病状安定期にあるCOPD患者70名(男性64名、女性6名、平均年齢70.4±10.4歳、BMI22.1±4.1kg/m²)で、呼吸機能検査は、FEV1.01335.5±616.8ml、%FEV1.0 55.6 ±22.8%、FEV1.0% 49.5±15.7%であった。研究方法は、各運動負荷試験終了時のSpO2、PR、ボルグスケールで評価した呼吸困難感と下肢疲労感を比較した。また、各運動負荷試験と他の運動負荷試験測定値、SpO2、PR、呼吸困難感、下肢疲労感で関係性を検討した。統計解析方法は、各運動負荷試験の特徴の平均値の比較を一元配置の分散分析で行い、その後の検定をTukeyの方法を用いて分析した。また、運動負荷試験と各測定項目の関係をPearsonの積率相関係数を用いて分析した。なお、帰無仮説の棄却域は有意水準5%とし、解析ソフトはSPSS version.19.0を使用した。【倫理的配慮、説明と同意】研究は、ヘルシンキ宣言に沿った研究として実施した。対象への説明と同意は、研究の概要を口頭及び文章にて説明後、研究内容を理解し、研究参加の同意が得られた場合、書面にて自筆署名で同意を得た。その際参加は任意であり、測定に同意しなくても何ら不利益を受けないこと、また同意後も常時同意を撤回できること、撤回後も何ら不利益を受けることがないことを説明した。【結果】各運動負荷試験の測定値はCS-30が17.3±5.2回、6MWTが406.8±122.6m、ISWTが363.1±163.3mであった。各運動負荷試験の特徴はCS-30、6MWT、ISWTの順に、SpO2は93.4±3.3、88.9±5.3、87.6±5.7でCS-30と6MWT(p<0.001)、CS-30とISWT(p<0.001)に有意差が認められた。PRは94.4±13.2、103.8±30.0、112.2±15.1でCS-30と6MWT(p<0.01)、CS-30とISWT(p<0.001)、6MWTとISWT (p<0.05)に有意差が認められた。呼吸困難感は3.3±2.0、4.9±1.8、4.9±2.5でCS-30と6MWT(p<0.001)、CS-30とISWT(p<0.001)に有意差が認められた。下肢疲労感は3.0±2.1、3.2±2.5、3.7±2.2(p=ns)であった。運動負荷試験と各測定項目の相関はCS-30がSpO2 (r=0.27 p<0.05)、PR(r=0.46 p<0.001)、呼吸困難感(r=0.11 p=ns)、下肢疲労感(r=-0.01 p=ns)であった。6MWT がSpO2(r=0.31 p<0.01)、PR(r=0.38 p<0.001)、呼吸困難感(r=-0.25 p<0.05)、下肢疲労感(r=-0.08 p=ns)であった。ISWTがSpO2(r=0.26 p<0.05)、PR(r=0.47 p<0.001)、呼吸困難感(r=-0.07 p=ns)、下肢疲労感(r=-0.01 p=ns)であった。【考察】CS-30はフィールド歩行テストと比較してSpO2、PR、呼吸困難感で有意に低値であり、下肢疲労感で有意差が認められなかった。6MWTとISWTの比較はPRで有意差が認められ、その他の項目で有意差は認められなかった。CS-30において、フィールド歩行テストより、低酸素血症や呼吸困難を感じる程度が低いことが示唆され、低酸素血症の強い患者や呼吸困難感が強い患者などの運動負荷試験に適していると考えられる。【理学療法学研究としての意義】本研究は、CS-30と運動負荷試験である6MWT、ISWTの特徴を客観的に検証した研究である。CS-30が運動耐容能評価として臨床可能となれば、低酸素血症が強い患者や呼吸困難が強い患者にリスクが少なく運動耐容能評価が可能となることが期待される。
著者関連情報
© 2013 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top