理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: D-P-04
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ポスター発表
劇症型心筋炎で心不全状態が遷延した症例に対し、心臓リハビリテーションを実施し独歩退院した1例
清水 美帆小林 聖典清水 優子清水 真也奥村 貴裕六鹿 雅登山田 純生碓氷 章彦室原 豊明
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抄録
【はじめに】劇症型心筋炎は心筋炎極期を乗り切れば自然軽快し、予後は良好とされるが、その自然経過はいまなお明らかではない。さらに、劇症型心筋炎に対する心臓リハビリテーション(心リハ)の報告は少なく、心リハの具体的な離床進行やそのモニタリング指標は明らかになっていない。今回、劇症型心筋炎で心不全状態が遷延した症例に対し、心リハを実施して独歩退院に至った症例を経験したので報告する。【倫理的配慮、説明と同意】症例およびその家族に理学療法介入の意義を説明し、書面で同意を得た。【症例】34歳女性。劇症型心筋炎のため当院へ搬送され、LVEF10%以下、両心室補助装置(BiVAD)導入となった。10病日BiVADから離脱した。心リハはIABP抜去後4病日にICU管理中から開始した。21病日抜管以降、発熱と頻脈が持続し心不全状態が遷延していた。心拍数、薬剤投与状況、体重など心不全増悪所見をモニタリングし、介助下での端座位を実施した。29病日に心肺停止状態となり、蘇生後は解熱傾向であったが頻脈が持続していたためβ遮断薬投与状況に留意し、心不全増悪所見のモニタリング下で離床を進めた。栄養については38病日より経口摂取開始となった。栄養状態の指標として体重、上腕・下腿周囲径、血液検査所見の推移を評価し、経過とともに改善を認めた。45病日ICU退室後、心拍数が安定化し、心不全増悪所見なく立位歩行へ離床進行が可能であった。離床拡大および運動療法を併用した結果、55病日に体重比24%であった下肢筋力は91病日に36%へ増加、院内独歩可能となった。94病日に転院となり、心機能はLVEF60%であった。【考察】心筋炎の急性期以降の管理で留意すべき項目として、本症例では心不全と不整脈が問題となった。頻脈には様々な関連要因が挙げられるが、本症例では発熱の鎮静化およびβ遮断薬治療により心不全状態が改善し、心拍数が改善した。心不全患者の栄養管理と運動療法について、栄養状態の改善を考慮しながら運動療法を進めることが必要であるとされている。本症例では、定期的な栄養状態の評価を併用して運動療法を進めた結果、栄養指標および身体機能の改善を認め、独歩退院に至った。劇症型心筋炎で心不全状態が遷延した場合、心不全増悪所見および栄養状態を反映する指標をモニタリングして心リハを進めることは、離床進行において有用であり、deconditioningおよびADL改善に寄与すると思われる。【理学療法学研究としての意義】劇症型心筋炎に対する急性期心リハにおいて、具体的な離床進行やモニタリング指標は明らかになっていない。今回の報告は劇症型心筋炎に対する心リハ介入方策の一助になると思われる。
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© 2013 日本理学療法士協会
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