理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: A-P-30
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ポスター発表
ブリッジ力測定法の有用性について 地域在住男性高齢者を対象に
政所 和也村田 伸宮崎 純也堀江 淳阿波 邦彦上城 憲司
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キーワード: ブリッジ, 測定方法, 有用性
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抄録
【はじめに、目的】身体機能を定量的に評価することは、運動プログラムの立案や運動効果の判定に極めて重要である。特に、高齢者における身体機能を定量的に評価することは転倒および寝たきり予防の観点からも重要である。一般に、筋力(上体起こし、膝伸展筋力)やバランス能力(片脚立位保持時間、Functional reach test;FRT)、歩行能力(Timed up and go test;TUG)、柔軟性(長座体前屈)等を中心に、高齢者の身体機能評価について多くの臨床的有用性が報告されている。しかし、それらの身体機能評価項目は課題動作が身体的負担となり、高齢者に用いることが困難なことが多い。そこで我々は、臨床において下肢機能の向上を目的とした運動療法として用いられるブリッジトレーニングに着目し、市販体重計にてブリッジの際の足底で床を押す力(ブリッジ力)を定量的に測定し、高齢者の身体機能の評価指標として用いることを考案した。本研究では、ブリッジ力測定法の有用性について各種身体機能評価との関連性から検討した。【方法】対象は、要支援および要介護状態でない地域在住男性高齢者32 名(平均年齢78.6 ± 6.8 歳、平均体重59.5 ± 7.2kg)とした。測定はブリッジ力の他、上体起こし、膝伸展筋力、片脚立位保持時間、FRT、TUG、長座体前屈を実施した。ブリッジ力測定の開始肢位は、背臥位にて両足関節中間位(底背屈0 度)とし、両上肢は体側に付けるように指示した。合図と同時にブリッジ動作を行い、足底に設置した市販体重計を最大努力にて床へ押しつけるように指示した。なお、測定中は両膝が離れないように留意した。測定は2 回行い、最大値を代表値とした。さらに得られた最大値を体重で除したものをブリッジ力値として採用した。統計処理は、ブリッジ力測定法の有用性に関してピアソンの相関係数を求めて検討した。なお、有意水準5%未満を有意差ありと判断した。【倫理的配慮、説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に沿った研究として実施した。対象への説明と同意は、研究の概要を口頭および文書にて説明後、研究内容を理解し、研究参加の同意が得られた場合、書面にて自筆署名にて同意を得た、その際参加は任意であり、測定に同意しなくても何ら不利益を受けないこと、また同意後も常時同意を撤回できること、撤回後も何ら不利益を受けることがないことを説明した。【結果】各測定項目の平均値と標準偏差は、ブリッジ力35.8 ± 5.3%、上体起こし5.5 ± 4.7 回、膝伸展筋力73.5 ± 21.6%、片脚立位保持時間27.8 ± 30.3 秒、FRT27.6 ± 7.6cm、TUG6.8 ± 1.1 秒、長座体前屈29.5 ± 10.9cmであった。ブリッジ力と有意な相関が認められたのは、膝伸展筋力(r=0.459、p<0.05)、片脚立位保持時間(r=0.397、p<0.05)、FRT(r=0.473、p<0.05)であった。その他の測定値とブリッジ力との間には、有意な相関は認められなかった。【考察】本研究結果より、ブリッジ力と下肢筋力を反映する膝伸展筋力およびバランス能力を反映する片脚立位保持時間、FRT との間に有意な相関が認められた。その他、上体起こし、TUG、長座体前屈との間には有意な相関は認められなかった。膝伸展筋力は多くの先行研究において、下肢機能評価としての重要性が報告され、その評価意義については周知されている。本研究において、ブリッジ力と膝伸展筋力との間に有意な正相関を認めたことから、ブリッジ力が高齢者の下肢筋力の指標として有用であることが示された。片脚立位保持時間に関しては、保持能力の低下が転倒を引き起こす可能性があることから、高齢者の身体機能評価として重要視されている。また、FRTに関しても前方への重心移動に対しての姿勢制御や体幹の安定性の指標となることが報告され、バランス能力の指標とされることが多い。本研究結果より、ブリッジ力と片脚立位保持時間およびFRTとの間 に有意は正相関を認めたことから、ブリッジ力が高齢者のバランス能力の指標になり得る可能性が示された。一方、上体起こし、TUG、長座体前屈との間には有意な相関は認められなかった。これらの知見より、ブリッジ力測定法は高齢者の下肢筋力ならびにバランス能力を定量的に評価できる簡易機能評価法として臨床応用できる可能性が示された。【理学療法学研究としての意義】ブリッジ力測定法は、特別な機器を必要とせず、臨床的にも簡便な方法である。さらに、背臥位で行えることから、安全な方法と言える。本研究は、ブリッジ力測定法が高齢者の下肢筋力およびバランス能力を推察できる可能性を示唆した。
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© 2013 日本理学療法士協会
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