理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: G-P-11
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ポスター発表
当院リハビリテーション科の医療安全の取り組みとアクシデント・インシデント報告
森木 貴司木下 利喜生橋﨑 孝賢堀 晋之助藤田 恭久幸田 剣中村 健田島 文博
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抄録
【はじめに、目的】当院は和歌山県唯一の大学病院・特定機能病院で、和歌山県の中核を担う急性期病院である。また高度救急救命センターにも指定されドクターヘリも就航しており、和歌山県下だけでなく、三重県・奈良県の救急医療にも携わり、重症患者も多く入院している。急性期のリハビリテーション(リハ)は機能回復や廃用症候群予防のために重要であり、可能な限り早期から積極的に実施することが奨められている。しかし、急性期は病態が安定していない患者も多く、チューブ類が多いこと、意識障害や筋力低下などにより介助量が多いことからリハ中のチューブトラブルや転倒、急変の医療事故が発生しやすい状況にあると考えられる。当院では、多くの診療科医師、看護師が急性期リハを当然のこととして認識し、術後早期でチューブ類が多い患者や発症後早期で意識障害がある患者に対しても積極的な急性期リハを実践している。積極的な急性期リハを安全に実践するためには医療事故予防とリスク管理を念頭に置いた医療安全の取り組みが重要となる。リハ部門で起きた事故報告は、転倒・転落事故が圧倒的に多いが、発生した事故についての報告は散見される程度である。今回、当科の積極的な急性期リハを実践するための医療安全の取り組みと平成23年度インシデント・アクシデントについて報告する。【方法】当科では、安全にリハを実施するための医療事故予防とリスク管理の様々な取り組みを日常的に行っている。医療事故予防については、勉強会(点滴に関する取扱い、吸引)、急変時対応訓練、リハ医・看護師と連携、リスクマネージャーと医療安全推進室との連携、朝礼時にはインシデント報告を義務付け事例を共有し再発予防に努めていることなどである。リスク管理については、毎朝の回診、診療科別・病棟別のカンファ、勉強会(症例検討会や英文抄読、画像カンファ、新患検討会、ランチョンレッスン)、訓練室回診・実技指導、リハ医・看護師と連携し、訓練中の状態変化に迅速な対応が可能なことなどである。なお、今回の調査は平成23年度に報告された当科のインシデント・アクシデントを対象とした。【倫理的配慮、説明と同意】事例の情報は、医療記録から特定できないように匿名化し、プライバシーに配慮した。また、今回の発表にあたり当大学医療安全推進部に発表内容および目的を説明し、発表の了承を得た。【結果】平成23年度のインシデントは122件、アクシデントは1件であった。インシデント内容は、末梢静脈ラインや栄養チューブなどのチューブトラブル(58%)、擦過傷(11%)、転倒(10%)の割合が高く、点滴漏れや閉塞、自己抜去によるチューブトラブルが圧倒的に多かった。このインシデント発生原因として確認を怠ったが59%と最も高かった。経験年数6年目までで全インシデント件数の80%を占めていたが、配属年数別にみると2年未満までで62%と高い割合を占めていた。アクシデントは、訓練中に肺塞栓を発症した事例であった。【考察】インシデント報告の多くがチューブトラブルであり、発生原因としては確認不足が大半を占め、さらに配属年数2年未満の職員で多かった。つまり、点滴に関する知識不足・注意不足、勤務に不慣れなことが考えられる。今後の対策として、新規配属者の点滴に関する教育と再発予防の意識付けを徹底していく事が重要であると考える。アクシデント症例は、深部静脈血栓症等は指摘されておらず、下肢に腫脹や疼痛などの所見もなかったことから予測困難であった。重要なことはアクシデントが起きた際の急変時対応であり、これを機に当科での急変時対応マニュアルを強化することとなった。予測困難なアクシデントは発生したが、それ以外の報告はチューブトラブル等の治療を要しない軽微なインシデントのみであった。これは毎朝の回診や勉強会を日常的に行いリスク管理に取り組んでいるため、リハ中の重大事故が予防できていると考えられる。したがって、医療安全の取り組みにより、当院のリハは積極的な急性期リハが安全に行えていると考えられた。【理学療法学研究としての意義】急性期リハの重要性は言われているが、リスクを恐れ積極的な急性期リハを実践できていない現状が少なからずある。当科での医療安全に対する取り組みの報告が安全にリハを実践するための情報提供となり、かつ積極的な急性期リハの普及につながると考える。
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© 2013 日本理学療法士協会
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