理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: G-P-11
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ポスター発表
通所リハ施設における患者満足度調査
―何が患者の満足度を高めるのか?―
柴田 信行
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抄録
【目的】「満足度」の度合いは個別的かつ主観的なものであることから数量化が難しく、これまで理学療法(士)(以下、PT)という切り口から通所リハビリテーション(以下、通所リハ)施設に対する患者の満足度を検証した調査は殆ど行われてこなかった。しかし、対象者の多くが慢性疾患(完全治癒が困難)を主病とする通所リハ施設では患者の満足が得られなければ治療そのものが成り立たない側面がある。本研究の目的は、通所リハ施設の利用高齢者の満足度を高めるPT要因は何かを明らかにすることである。【方法】対象は通所リハ施設を利用中の虚弱高齢者28例のうち同意が得られた27例(男性12例、女性15例、平均年齢78.9±7.2歳)である。主病名は脳・脊髄疾患13例、脊椎変性疾患3例、認知症3例、神経変性疾患2例、関節変性疾患2例、大腿骨骨折2例、脊椎骨骨折2例で平均罹病期間は6.2±5.4年である。  調査は質問紙法を用い回答は無記名とし回収期間は平成24年8月27日~平成24年9月10日迄の2週間とした。質問は長谷川が用いた項目を「PT」、「介護職員(以下、CW)」に置き換えた11項目に筆者が考案した11項目を加えた22項目(患者属性5項目、現在の健康状態とその内訳2項目、症状の回復状況2項目、PTの能力や態度4項目、治療時間・頻度2項目、治療環境・設備2項目、CWの能力や態度2項目、総合満足度3項目)とした。質問に対する評価は「悪い」を1~「素晴しい」を5とした5段階法を用いた。 解析は総合満足度3項目の平均値を従属変数、それ以外の項目を独立変数としたロジスティック解析を行った。解析にはStatView5.0を用い有意水準は5%とした。なお、重度の認知症及び意思表示が困難な者は対象から除外した。【説明と同意】本調査は対象者に口頭と書面で主旨を説明し、同意を得て実施した。【結果】質問紙の回収率は96.4%(27部回収/28部配布)で、有効回答数は27部であった。 総合満足度の平均値は「この次もここの施設を利用したいと思う」が4.0±0.8、「ここの施設を利用してよかった」が3.6±0.8、「ここの施設を家族や友人に紹介したいと思う」が3.6±0.8であった。 解析の結果、「治療による症状の軽減(OR, 0.18; 95%CI 0.04-0.77; p=0.02)」が抽出された(R2=0.27)。「治療による症状の軽減」は「治療による不安や悩みの軽減(r=0.77)」、「PTの説明(r=0.62)」との相関が高かった。「治療による症状の軽減」に対しては27例中10例(37.0%)が「素晴しい(5)」、「期待以上(4)」と高い満足度(平均値4.2±0.4)であった。それら患者の7割は痛みを有し、9割は歩行可能であった。 一方、27例中5例(18.5%)は「期待以下(2)」、「悪い(1)」と「治療による症状の軽減」に対し低い満足度(平均値1.4±0.5)であった。それら患者の2割は痛みを有し、全例に著明な歩行障害があった。 なお、「PTの説明」に対しては「PTの話を聴く態度(r=0.64)」、「PTの態度や言葉遣い(r=0.55)」で、「PTの治療技術と能力の高さ」に対しては「PTの態度や言葉遣い(r=0.69)で相関が高かった。【考察】患者は当施設に概ね満足しており、「今後も継続して利用したい」意識が高いことが判った。また「治療による症状の軽減」を最も重視しており、その満足度が高くなるほど施設全体の満足度に寄与していることが明らかになった。これは「治療による症状の軽減」に対する患者の満足度評価が1段階上がることで施設の総合満足度が「0.18倍」高くなることを意味する。 また、「治療による症状の軽減」と「治療による不安や悩みの軽減(r=0.77)」、「PTの説明(r=0.62)」との相関から「治療による症状の軽減」は患者の心理的苦痛の軽減に貢献し、「PTの説明」が症状の軽減に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。さらに、「PTの説明」は「PTの話を聴く態度(r=0.64)」、「PTの態度や言葉遣い(r=0.55)」との相関が高いことから「PTの説明」の良否がPTに対する患者の印象を左右していると考えられた。先攻研究においても「医師の説明」が患者満足度決定要因とされており、PT診療においても患者の訴えに耳を傾け、丁寧なインフォームドコンセントを心掛けることが治療結果に良好な影響を与えると考えられた。 なお、全体を通して患者の7割は「歩行障害」を、4割は「痛み」を抱えており、6割はその改善をPTに期待していた。【理学療法学研究としての意義】患者の満足は理学療法の最終目標の一つであると同時に施設を評価・選択するうえで重要な指標となる。満足度の高さはその施設で働くPTにとってもやりがいとなる一方、慢性(難治)疾患にも対応できる幅広い知識と技術が求められる。
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© 2013 日本理学療法士協会
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