理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-P-23
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ポスター発表
ロボットを使用した理学療法の有効性と適応レベルの検討
宇野 健太郎松本 愛小羽田 佳子江藤 祥子小川 紘幸好川 哲平山崎 康平
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キーワード: ロボット, Barthel Index, 適応
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抄録
【はじめに、目的】 身体障害を有する患者に対して新しい工学的技術,特にロボット技術を応用したリハビリテーション(以下,リハビリ)機器が開発され,臨床で用いられてきている.当院ではロボット技術をリハビリ工学の1つと捉え,2009年よりロボットスーツHAL福祉用(以下,HAL)を導入し,リハビリへの応用に取り組んでいる.近年,HALに関する様々な研究発表が行われているが,これらの研究発表はシングルケーススタディが主であり,HALの適応や有効性に関する研究は少ない.また我々の臨床経験上,比較的ADL能力の低い患者に対してHALを用いた方が効果的な印象を受ける.そこで,今回我々は,HALの適応範囲が患者ADL能力の高低に関係しているのか,またその有効性を明らかにすることを目的としケースコントロール研究を行い,検証したため以下に報告する.【方法】 平成22年6月~平成24年10月の間,当院に入院した患者を対象とした.ADL評価にはBarthel index(以下,B.I)を用い,70点以上のグループ(以下,High群)6名と65点以下の患者(以下,Low群)8名に分ける.まずLow 群8名を通常のリハビリ+HAL施行群(以下,HAL群)4名と,リハビリのみ(以下,コントロール)4名に分けた.これらの対象に対し,HAL開始時と1ヶ月後にB.I評価を行い,どちらの群がADLの向上を認めるか比較検討した.また,これに対しHigh群をHAL群(3名)とコントロール(3名)に分けHAL開始時と1ヶ月後にB.I評価を行い,HALの適応範囲がADL能力の高低に関係するかの検証を行った.対象属性としてHigh群は平均年齢68.5±17.2歳,男性3名,女性3名,脳血管疾患4名,運動器疾患2名,下肢MMT3~5,下肢BrsⅣ~Ⅵである.それに対しLow群は平均年齢76±8.6歳,男性2名,女性6名,脳血管疾患4名,運動器疾患2名,廃用症候群2名,下肢MMT0~3,下肢BrsI~Ⅳである.両グループはランダム選定ではなく,HAL群に対して,コントロールを同疾患患者(年齢,随意性,筋力,B.I等を可能な限り近いものとした)で比較検証した.統計的手法としては,Wilcoxonの2標本の検定を行った.統計処理にはR2.8.1を使用し,有意水準は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は,ヘルシンキ宣言に基づき実施され,倫理的配慮として当院の倫理委員会にて承認を受け,また対象者には十分な説明を行い,書面にて同意を得て実施した.【結果】 Low群では,初期と1ヶ月後のB.Iの点数はHAL群において有意に改善を認めた(P<0.05). High群では両者において有意差を認めなかった(P>0.05).Low群のHAL群ではコントロールに比べB.Iの移動・移乗・トイレ動作項目の改善度が高い傾向にあり,MMT,Brsにおいてもより改善がみられた.【考察】 HALとは身体を動かす際の生体電気信号を感知し,パワーアシストを行う随意的制御モード(以下,随意モード)と動作シーケンスに応じてあらかじめプログラムされた支援動作が実行される自律的制御モード(以下,自律モード)によって,立ち座りや歩行動作をアシストする自立動作支援ロボットである.Low群においてHAL群で改善を認めた要因は,HALの2つの制御系アシストが機能改善に繋がったと思われる.Low群はMMT,Brsが低い傾向にあるため,Activeでの動作発現不可能でフィードバック作用を得る機会が少ない.脳卒中治療ガイドラインでは,運動量の確保が必要とされており,HALの随意・自律モードを利用し,パワーアシストする事で動作が楽に行え,練習量増加を促せた事やActiveで練習を行うことができ,フィードバック作用の機会を多く促せた事が,HAL群で有意に改善を認めた要因であると考える.次にHigh群で両者において有意差を認めなかったのは,High群では随意性や筋出力が高く,起立・歩行が可能であり,HALのアシストを必要としなくても動作練習可能である.これらのことから,今回の研究でB.IにおいてはLow群,つまりB.I65点以下の患者にHALを併用した方が機能改善に繋がる可能性が示唆された.【理学療法学研究としての意義】 理学療法において装具療法や機能的電気刺激(FES)などのさまざまな治療方法が行われてきた.今後はロボットを使用したリハビリも有効な理学療法手段となることが考えられる.理学療法にロボットを併用し,理学療法を発展させていく為には,HALの有効性や適応を確立することは重要であり,本研究はその基礎となる.
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© 2013 日本理学療法士協会
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