理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: C-P-45
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ポスター発表
当院におけるアスレチックリハビリテーション事業の効果検証
松田 孝史水谷 準岡澤 武士星野 遼宮尾 益尚
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抄録
【はじめに、目的】 スポーツ復帰を目的とする患者様に対し、初期では社会復帰を目的としたメディカルリハビリテーションを行い、その後アスレチックリハビリテーション(以下アスリハ)へと展開する。しかし、アスリハを行う際リハビリ室でのトレーニングでは器具や時間が限られており、復帰までに期間を要すなど難渋するケースもある。当院では平成22年10月よりスポーツ復帰を目標とする患者様に対し、病院併設のメディカルフィットネスを利用してアスリハ事業を開始した。開始から平成24年10月までの契約者数は48名となっている。アスリハ事業の利用対象はスポーツ外傷術後や、スポーツ障害を有した患者様で、理学療法士が適応と判断し、本人の希望と医師の許可を得て利用開始となる。プログラムは理学療法士が評価した後、作成、指導を行っている。今回事業開始より2年を迎え、現在までの利用者の満足度や競技復帰レベル、トレーニング効果等を検討し事業の効果検証を行ったので報告する。【方法】 アスリハ事業利用者の男女比、疾患、競技種目の内訳をまとめた。また、アスリハ終了者にアンケートを実施し、アスリハ事業の満足度、競技復帰レベルについて聴取した。また、膝前十字靱帯(以下ACL)損傷後、当院にて半腱様筋、薄筋腱で再建術を施行し、スポーツ復帰を目標とする症例の中で、術後3ヶ月以降からアスリハ事業を利用した症例をアスリハ群10名(男性1名、女性9名、平均年齢18.9±4.8歳)、アスリハ事業を希望せず外来リハビリと自主トレーニングを継続した症例を非アスリハ群10名(男性3名、女性7名、平均年齢17.8±4.8歳)とし、術前、術後3、6ヶ月での膝伸筋屈筋筋力の測定結果を検討した。さらに、術後3ヶ月と6ヶ月の筋力値の差をアスリハ群と非アスリハ群で比較した。筋力測定にはBIODEX System3を用い、角速度は60、180、300°/秒で測定し、筋力値は体重比で比較検討を行った。統計的手法にはMann-WhitneyのU検定を用い有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は猫山宮尾病院倫理委員会の承認を得て実施した。また、データの収集、解析にあたり個人が特定できないよう匿名化し実施した。【結果】 アスリハ事業利用者48名の内訳は、男性23名、女性25名、平均年齢28.3±11.5歳。疾患はACL損傷28名、半月板損傷6名、アキレス腱断裂、膝蓋骨骨折各2名、その他であった。競技種目はバスケットボール13名、サッカー・フットサル6名、柔道3名、その他であった。アンケート結果は終了者28名のうち16名が回収可能で、アスリハ事業に対する満足度は、「大変満足している」が14名、「満足している」が2名であった。受傷前を100%とした競技復帰レベルは、80%以上が11名で全体の約7割であった。ACL損傷患者の2群の筋力比較は、術前と術後3ヶ月は各角速度で有意差を認めなかった。術後6ヶ月では角速度60、300°/秒の膝伸筋屈筋と、角速度180°/秒の膝屈筋で有意差を認めた。術後3ヶ月と6ヶ月の筋力差の比較は、各角速度の膝伸筋屈筋で有意差を認めいずれもアスリハ群が高値であった。【考察】 アスリハ事業利用者のほとんどが下肢疾患で、競技種目もバスケットボールやサッカー等の下肢傷害が多く発生するものが多かった。アンケート結果では、アスリハ事業に関しては概ね満足感を得られていることが分かった。しかし、競技復帰レベルは80%まで達していない利用者もおり、アスリハ終了時期について今後検討していく必要がある。アスリハ群と非アスリハ群の筋力比較は、術後6ヶ月で有意差を認め、また術後3ヶ月と6ヶ月の筋力差の比較においてもアスリハ群が有意に高値であった。これは、術後3ヶ月以降アスリハ事業を利用したことで効率良く筋力回復が得られたのではないかと考える。山本は、ACL再建術後アスリハを実施した症例の競技復帰時の筋力回復では、60°/秒のような低速域での回復値が低かったとしている。当院では、開始当初はマシーンによる筋力増強と、患部外を含めた全身的なトレーニングを中心に行う。その後身体状態に応じアジリティーやプライオメトリックなど速い動作のトレーニングを導入していく。そのため低速域から高速域までの全体的な筋力回復が図れたと考える。スポーツ復帰に際し当院アスリハ事業は一定の効果を示したが、今後も事業の質の向上を図るため、内容の検討や知識、技術の研鑽が必要であると考える。【理学療法学研究としての意義】 スポーツ復帰を目標とする患者様に対しては、より専門的な施設で集中的にトレーニングを行うことが望ましく、そこに理学療法士が関与することは意義深く、果たす役割は大きいと考える。
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© 2013 日本理学療法士協会
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