理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-P-09
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ポスター発表
地域在住高齢者の"足部痛による能力障害"と生活機能に関する予備的調査
第2報 "足部痛による能力障害"に関連する足部形態異常の指標
仲 貴子
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抄録
【はじめに、目的】 足部痛は地域在住高齢者に多く存在し、バランス能力低下、転倒リスク、移動障害などの身体機能障害との関連が知られている。第47回本学会において著者は、地域高齢者の“足部痛による能力障害”の高い有症率を示し、この“足部痛による能力障害”が、高齢者の移動能力を低下させ生活空間を狭める誘因となることを報告した。足部痛は外反母趾や四趾の変形、扁平足障害、外反足といった足部の形態異常との関連が指摘されているが、高齢者では足部形態異常が“足部痛による能力障害”と関連しないとする報告も多く、高齢者の“足部痛による能力障害”と関連する足部の形態的変化を捉える評価手法の選定にはいまだ議論の余地を残す。本研究の目的は、地域在住高齢者に対して、足部形態異常に関する評価を実施し、これと“足部痛による能力障害”(Disabiling Foot Pain; 以下 DFP)との関連を明らかにすることである。【方法】 対象者は地域在住高齢者22名(男性4名、女性18名)である。対象者の平均年齢(SD) は71.1(6.35)歳であった。対象者らは郊外の住宅都市に居住し、地域の自主活動グループに参加する者で、その活動拠点において調査を実施した。調査内容は、調査当日の足部痛の有無、日本語版Manchester Foot Pain and Disability Index(以下、MFPDI-J)、さらに理学療法士による足部形態検査としてManchester Scale(外反母趾重症度)、Foot Posture Index(回内扁平足の多面的評価指標。以下、FPI-6)、アーチ高率(100×舟状骨高/足長)、Arch Index(フットプリントによる扁平足評価)の4つの尺度を評価した。 DFPの有無に関連する足部形態検査指標を調べるため、DFPの有無(調査当日足部痛があり、MFPDI-Jのいずれか1項目以上に該当する場合を「DFPあり」と定義)と、MFPDI-J下位項目(移動制限、外観的懸念、重い疼痛)の有無を従属変数、各足部形態検査指標を独立変数、年齢を調整変数として、多重ロジスティック回帰分析を適用させた。変数の選択は尤度比検定による変数増加法を用いた。統計解析にはPASW statistics18(SPSS Japan)を用い、有意確率は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は千葉県立保健医療大学研究倫理委員会の承認を受け、調査対象者には書面・口頭にて十分な説明をし、書面上で同意を確認して行った。【結果】 MFPDI-Jの定義からDFPがある者は7名であった(存在率31.8%)。下位項目では、移動制限のある者6名(27.3%)、外観的懸念がある者3名(13.6%)、重い疼痛がある者6名(27.3%)であった。足部形態検査では、Manchester Scaleでいずれかの足に中等度以上の外反母趾がある者は9名(40.9%)、FPI-6でいずれかの足に回内扁平足がある者(FPIが6点以上)は9名(40.9%)、Arch Indexでいずれかの足に凹足がある者は3名(13.6%)であった。 ロジスティック回帰分析では、DFPに対する足部形態検査で、Manchester Scale、FPI-6、アーチ高率、Arch Indexのいずれも有意な関連は認めず、調整変数である年齢が最も重みづけの強い変数であることが示された(オッズ比(odds ratio; OR)1.171、95%信頼区間(confidence index; CI)0.982-1.396、p=0.80。DFPの下位項目については、外観的懸念、重い疼痛には年齢以外に有意な相関を示す独立変数はなかったが、移動制限についてはFPI-6得点に有意な相関が認められ(OR 1.513、95%CI 1.007-2.275、p=.046)、予測値と実測値の判別的中率は86.9%であった。【考察】“足部痛による能力障害”の有無をMFPDI-Jを用いて定義し、これと足部形態検査指標との関連を分析した結果、外反母趾の重症度を評価する指標であるManchester scaleや我が国で多く使用されるアーチ高率、フットプリントによるArch Indexは“足部痛による能力障害”との関連は認められず、FPI-6で“足部痛による能力障害”の下位項目である移動制限との相関が確認できた。FPI-6は、足部の体節ごとに3平面上の形態的特性を得点化し評価する比較的新しい尺度であり(Redmondほか; 2006)、足部形態の局所的変化をとらえる他の尺度に比べ、足部が果たす「移動」への影響を強く反映する検査手法であることが確認できた。今後、この評価指標を中心とした包括的足部機能スクリーニング手法を構築し、地域で暮らす高齢者における「生活機能低下につながる足部障害」の早期発見・早期介入への導く地域保健システムの提案へとつなげていくことを課題と考える。【理学療法学研究としての意義】生活機能低下につながる恐れのある“足部痛による能力障害”の実態を、足部形態や機能の面からとらえることは、“足部痛による能力障害”の発生を予測するだけでなく、これを改善するための理学療法介入の手法を構築する際に極めて重要な情報を提供することになる。
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© 2013 日本理学療法士協会
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