理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: G-P-10
会議情報

ポスター発表
フリーソフト「Epi InfoTM 7」を利用した診療情報管理とその活用法
入江 駿鈴木 康裕Deni Iskandar江口 清
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに、目的】 Evidence Based Physical Therapyは、リハビリテーション利用患者に均質かつ効果的な治療的介入を行う上で重要である。良質なEvidenceの構築には、大規模なデータベースの構築が必要である。また、診療情報のデータベース化により、リハビリテーション実施成績は容易に視覚化することができる。疫学領域では、データの蓄積に表計算ソフトであるMicrosoft Excel(R)やデータベースソフトFileMaker(R)が頻繁に利用され、統計解析に関しては、SPSS(R)やSAS(R)などが用いられる。しかし、それらのソフトウェアライセンスは高額ケースが多く、データベースソフトと統計パッケージ両方の機能を有するソフトウェアは少ない。そのために、診療情報のデータベース化は多大な出費、労力を必要とし、さらに理学療法評価の不統一性により、実現困難な現状である。そこで、我々はオープンソースであるEpi Info™7(以下Epi7)に注目し、糖尿病教育入院を対象としたシミュレーションを行い、データベース構築を試みた。【方法】 本学附属病院リハビリテーション部で使用されている糖尿病教育入院評価フォームをEpi7により電子化し、乱数的に発生させた数値・文字列を入力した。次に、(1) 電子カルテと同様に容易に特定の患者の情報を抽出することができるか、(2) 他の統計パッケージと併用するために、データをMicrosoft Excel(R)に出力することができるか、(3) 基本的な統計解析が実行できるか、の3点について検証した。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は、ソフトウェアの発信元であるアメリカ疾病予防管理センター Epi Info Helpdeskの許可を得て実施している。また患者情報は全てコンピューター上で発生させたランダムなものである。【結果】 Epi7はさまざまな質問用紙、評価用紙を電子化することが可能であり、カテゴリデータ、連続データのみならず、記述統計の取り扱いも可能である。さらに、データリスト出力機能により、容易に特定被験者のデータの抽出、フィルタリング機能による被験者の選別・分類も可能でであった。また、Microsoft Excel(R)へのデータ出力も可能であった。いずれの処理も、プログラミング言語の知識を要さない。さらに、利用可能な統計学的処理は、χ二乗検定、ロジスティック回帰分析、線形回帰分析など7種類に及んだ。しかし、使用法についての日本語解説については皆無で、統計機能・フォーム作成機能を利用するにはある程度の英語力が必要であった。【考察】 Epi7は、疫学統計に必要な基本的な統計解析機能を備えたソフトウェアであり、評価フォームや質問紙を容易に出力することが可能であった。これらの機能を利用することで、診療情報の電子化、臨床データマネジメント、評価フォーム作成により理学療法評価の統一が可能になる。さらに、データ種類を選ばないことは、量的・質的データの混在する理学療法評価のデータマネジメントに有効である。費用負担は発生せず、コスト面でのメリットもある。しかし、パラメトリックな検定についてはカバーされていないため、必要に応じて、表計算ソフトや統計解析パッケージとの併用が望ましいものと考えた。また、本邦での普及のために、日本語マニュアルの作成も実施していく必要がある。【理学療法学研究としての意義】 Epi 7は、コスト面、機能面、技術面において、理学療法データマネジメント、診療業務、臨床研究を支援する。臨床薬学分野では、薬剤のデータベースを運用し、投薬管理を行うことが盛んである。理学療法士もデータベースを通じ、理学療法介入の標準化を実現すべきである。今後は、インターネットを利用した理学療法データマネジメントも含め、本ソフトウェアの利用方法を確立していく必要がある。
著者関連情報
© 2013 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top