理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: D-P-14
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ポスター発表
当院外科病棟における長期入院患者の現状
大﨑 敬之森下 一樹髙森 啓史
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抄録
【はじめに、目的】当院は「断らない最良の急性期専門医療を提供し続ける」ことを目標とする400床の急性期病院である(2011年度平均在院日数10.2日、病床利用率95.8%)。これらを実現するためには自己完結型では不可能であるため、急性期治療が終了すれば連携先で治療の継続を行う地域完結型医療を行っている。2009年3月より早期離床を実施し合併症を予防するために外科病棟(52床、2011年度手術件数984件、平均在院日数13.4日)に専属理学療法士を配属した。専属理学療法士の役割の一つは他のスタッフと協力し、医学的情報・社会的情報を収集することで早期の退院・転院を支援することである。当院、外科病棟における長期入院患者の現状について報告する。【方法】2011年10月1日から2012年9月30日の間に外科よりリハビリテーション依頼のあった連続328例とし、①上・下腹部に対する手術例、②入院前生活場所が在宅、③当院の転帰が転院の条件を満たした93例を対象とした。術後在院日数が30日以上を長期入院と定義し、その要因について検討を行った。検討項目は年齢(74歳以下、75歳以上)、入院経路(緊急入院、予定入院)、手術部位(上腹部、下腹部)、入院前ADL(自立:Barthel Index100点、非自立:Barthel Index95点以下)とし、各々の長期入院患者の割合を比較した。長期入院患者については転院理由(継続加療目的、療養目的、その他)についても調査を行った。【倫理的配慮、説明と同意】当院では、倫理的配慮として入院時にご本人、又はご家族に個人情報保護に関する説明をしており、個人が特定されないことを条件として院内外へ公表することに同意を得ている。【結果】328例の性別(平均年齢)は男性175例(72.9±12.0歳)、女性153例(75.7±12.2歳)であった。対象93例では男性48例(77.1±8.0歳)、女性45例(77.2±10.4歳)であった。29日以内に転院したものは74例で男性39例(76.7±8.1歳)、女性35例(77.9±9.4歳)であった。長期入院患者は19例で男性9例(79.0±7.7歳)、女性10例(74.9±13.8歳)であった。長期入院患者の割合の比較では年齢が74歳以下では36例中8例(22.2%)、75歳以上では57例中11例(19.3%)であった。入院経路が緊急入院では45例中12名(26.7%)、予定入院では48例中7例(14.6%)であった。手術部位が上腹部では40例中7例(17.5%)、下腹部では53例中12例(22.6%)であった。入院前ADLが自立では60名中10例(16.7%)、非自立では33例中9例(27.3%)であった。長期入院患者の割合は入院前ADL非自立で最も多かった。ADL非自立、緊急入院、下腹部、75歳以上の条件を満たした16例中7例(43.7%)が長期入院に至っていた。転院の理由は継続加療目的10例、療養目的2例、その他7例であった。【考察】「断らない最良の急性期専門医療を提供し続ける」ためには、常に空床を確保しなければならない。一方、救急重症患者の増加、救急高齢患者の増加により、直接自宅退院することが困難な例を数多く経験する。当院ではそのため自己完結型医療ではなく、急性期治療が終われば連携先で治療を継続する地域完結型医療に取り組んでいる。退院・転院を支援するためには在宅復帰困難例を早期に把握することは重要である。今回の我々の検討では、入院前ADL非自立、緊急入院、下腹部、75歳以上の組み合わせが長期入院の最頻値となった。これらの指標はリハビリテーション開始時にいずれも把握可能な情報であるため、リハビリテーション開始の際はこれらの情報を収集し他スタッフへ適切な情報提供をすることで長期入院患者の抑制に繋げることが可能であると思われた。【理学療法学研究としての意義】長期入院に至る要因を明らかにすることで、リハビリテーション開始時に長期入院が予測可能であることが示唆された。
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© 2013 日本理学療法士協会
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