理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: C-P-14
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ポスター発表
当院における鏡視下腱板修復術術後の治療成績の検討
術後挙上可動域と筋力および疼痛の経時的変化
野原 邦彦矢上 圭一朗
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抄録
【はじめに、目的】 近年,腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術(以下ARCR)の有用性が数多く報告されている.当院でも2006年以降ARCRが施行され術前術後の理学療法を行っている.今回,その治療成績における肩関節自動屈曲可動域(以下,拳上可動域)と外旋,内旋筋力について,術前術後の疼痛と合わせて検討したのでここに報告する.【方法】 2008年から腱板完全断裂に対してARCRを行い,1年以上の経過観察が可能であった41例を対象とした.男性20例20肩,女性21例21肩,手術時平均年齢64.0歳(41~78歳)であった.断裂サイズは長径が5cm以上の広範囲断裂4肩,3~5cmの大断裂16肩,1~3cmの中断裂が21肩であり,不全断裂の者,反対側に肩関節疾患がある者は除外した.拳上可動域の測定は,座位で両上肢の自動挙上を,外旋,内旋筋力の測定は,仰臥位1st positionにてハンドヘルドダイナモメーターを使用し,最大等尺性随意収縮3秒間を2回計測し,最大値を採用した.統計学的検討は,拳上可動域は,術前,術後3ヶ月,術後6ヶ月,術後1年で,外旋,内旋筋力は,術前,術後6ヶ月,術後1年で,それぞれ健側との比率を計算して行った.また疼痛については,日本整形外科学会肩関節治療成績判定基準(以下,JOA score)の疼痛の点数を術前,術後3ヶ月,術後6ヶ月,術後1年で比較検討した.【倫理的配慮、説明と同意】 本研究の趣旨を説明し同意を得られた患者を対象とした.【結果】 拳上可動域は,健側比はそれぞれ術前81.8%,術後3ヵ月85.0%,術後6ヶ月96.0%,術後1年98.1%であり,術前と術後3ヵ月間では有意な改善を認めず,術後3ヵ月と術後6ヶ月では有意に改善を認め,術後6ヶ月と術後1年では有意差はないものの改善傾向を認めた.外旋筋力は,健側比はそれぞれ術前58.4%,術後6ヶ月78.2%,術後1年88.8%であり,術前と術後6ヶ月,術後6ヶ月と術後9ヶ月で有意に改善を認めた.内旋筋力は,健側比はそれぞれ術前81.0%,術後6ヶ月92.7%,術後1年105.4%であり,術前と術後6ヶ月,術後6ヶ月と術後9ヶ月で有意に改善を認めた.疼痛は,JOA score疼痛点数が術前11.2点,術後3ヶ月18.8点,術後6ヶ月25.1点,術後1年27.2点で,術前と術後3ヶ月,術後3ヶ月と術後6ヶ月,術後6ヶ月と術後1年でそれぞれ有意に改善を認めた.【考察】 今回の結果より,自動拳上可動域は術後3ヵ月から6ヶ月の間に急速に改善し,術後6か月で健側比96.0%と良好な可動域を獲得していることがわかった.戸野塚らは,術後3ヶ月において拳上120°外旋10°,結帯L5が目標可動域で,それに満たないものは術後2年において成績が劣るとしている.我々の研究においても,術後3ヶ月時点で拳上可動域は平均138.8°獲得し,条件を満たしており,術後1年において健側比98.4%獲得できている.筋力では,術前健側比外旋で6割から術後6ヶ月で8割弱,内旋で8割程度だったものが術後6ヶ月で9割まで改善し,術後1年では外旋は9割弱,内旋は健側並みに改善していることがわかった.術前の挙上可動域の低下は,物理的な腱板の断裂によるものと,疼痛や拘縮が原因と考えられる.今回,術後6ヶ月で良好な挙上可動域を得られたのは,術後6ヶ月までに疼痛がJOA scoreで25点(スポーツ,重労働時の僅かな痛み)まで改善したことと,外旋筋力が8割弱まで,内旋筋力が9割まで改善したことが要因となっていることが示唆された.【理学療法学研究としての意義】 今回の研究結果から,当院のARCR術後の経過を客観的に評価でき,術後6ヶ月までの後療法と疼痛管理の重要性を確認した。また,再断裂についての検討も行っていきたいと考える.
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© 2013 日本理学療法士協会
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