理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: C-P-05
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ポスター発表
腰椎疾患手術患者の機能面と健康関連QOLの関係について
葉 清規対馬 栄輝森島 英志村瀬 正昭林 義裕大石 陽介
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抄録
【目的】 近年治療成績において患者立脚型アウトカム評価が利用されるようになり、腰椎疾患の術後治療成績においても、健康関連QOLの代表的指標の一つであるSF36v2を用いた報告が散見される。本邦では腰椎疾患治療判定基準として機能的評価であるJOA scoreが利用されてきた。これらの指標は術後改善が得られることが報告されているが、術前の健康関連QOLや、その関連性についての詳細な報告は渉猟を得たが見受けられない。また腰椎疾患術後早期の健康関連QOLにおいては、身体的健康度の改善は得られるが精神的健康度の改善は得られにくいことが報告されており、より早期からの多角的なアプローチが必要とされている。本研究目的は、術前の健康関連QOLと機能面の関係を、SF36v2とJOA scoreを用い調査し、その特徴を把握することで、より早期からのアプローチの一助とし、腰椎疾患術後に早期QOL向上を図ることである。【方法】 対象は当院で2005年10月から2009年12月の期間に腰椎疾患にて手術、術後後療法を施行した1943例のうち、術前にSF36v2とJOA scoreを評価可能であった345例とした。平均年齢55.6±17.3歳、男性222例、女性123例であった。疾患内訳は腰椎椎間板ヘルニア(LDH)156例、腰部脊柱管狭窄症153例、腰椎変性すべり症36例(腰部脊柱管狭窄症と、腰椎変性すべり症をまとめてLDD)であった。評価基準としてSF36v2の評価基準に則り、機能面に影響を与える可能性がある中枢神経疾患、RA、人工関節置換術既往症例は除外した。 LDH群、LDD群のそれぞれのJOA scoreの総合得点と、SF36v2の下位尺度値(PF:身体機能、RP:日常役割機能(身体)、BP:体の痛み、GH:全体的健康感、VT:活力、SF:社会生活機能、RE:日常役割機能(精神)、MH:心の健康)との関係について検討した。統計学的処理はSPSS ver19を用い、 Shapiro-Wilk検定後に相関係数もしくは順位相関係数を適用し、危険率は5%とした。 またSF36v2の下位尺度値は国民標準値とも比較した。【説明と同意】 本研究については筆頭演者所属施設の倫理委員会の承認を得て、対象者には同意書にて説明を行い、同意を得た。【結果】 JOA scoreと各下位尺度との相関は、LDH群では、PFにやや相関がみられた(rs=.358)。LDD群では、PF(rs=.328)、RP(rs=.276)、BP(rs=.280)、VT(rs=.237)、SF(rs=.246)、RE(rs=.219)にやや相関がみられた。国民標準値との比較では、LDH群、LSS群ともに全ての下位尺度値は国民標準値を下回っていた。【考察】 本研究結果より、術前のLDH群では機能的な障害が身体機能にのみ影響がある可能性が考えられた。術前のLDD群においては機能的な障害が身体的健康度、精神的健康度ともに影響がある可能性が考えられた。これはLDH群が主症状は疼痛であることに対し、LDD群は疼痛以外の症状も呈することや、退行変性疾患であるため年齢や罹病期間などが関与する可能性も考えられるが定かではない。しかし腰椎疾患手術成績には精神医学的問題が関与することがいわれており、本研究で全下位尺度値が国民標準値より下回っていたことからも、LDD群では術前から機能障害に対して可能な範囲でアプローチしていくことが術後のQOLの早期向上につながることが示唆された。LDH群では健康関連QOLと機能面との関連性があまりみられないため、今後さらに多角的な視点から検討する必要性が考えられた。【理学療法学研究としての意義】 腰椎疾患手術患者の術前からの機能面、健康関連QOLの特徴を把握することは、術後後療法を実施する上で早期のQOL向上のための一助となると考える。
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© 2013 日本理学療法士協会
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