2026 年 95 巻 1 号 p. 35-39
円偏光は,物体の複屈折や応力分布など,人間の目では識別できない多様な情報を含んでいる.本研究では,円偏光の高感度検出を目指し,有機キラル分子と無機半導体をハイブリッド化した一次元らせん構造を有する結晶薄膜および光検出素子の開発を進めている.例えば,ハロゲン化鉛ペロブスカイトは,有機キラル分子との相互作用によって系全体に一次元らせん構造が誘起され,最大5000mdegという極めて強い円偏光二色性を示す.さらに,この一次元らせん結晶薄膜を受光層として用いることで,円偏光の回転方向を選択的に検出する光検出素子の作製に成功した.これは,らせん構造を利用して円偏光を直接検出した世界初の例であり,円偏光検出素子として最高感度を達成した.