理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-P-03
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ポスター発表
大腿骨近位部骨折患者の階層化の試み
大腿骨地域連携パスの前向き有効活用を目指して
小田 知矢眞河 一裕小林 靖
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抄録
【目的】近年の医療制度下で急性期病院には、早期予後予測による適切な治療の選択、転帰の検討が求められている。そこで、回復期病院に転院した患者を対象に大腿骨近位部骨折地域連携パスのアウトカム分析を行い、急性期病院でのアウトカム指標により患者群を階層化し、その階層ごとの解析をすることで予後予測の可能性を探る。同時に適切なリハビリ治療方針を決定するための足がかりを探る。【方法】対象は2009年3月~2011年12月に当院から大腿骨近位部骨折地域連携パスで回復期病院へ転院した患者の内、データの解析が可能であった458名(男性94例、女性364例、平均年齢81±9.6歳)とした。1、当院退院時Functional Independence Measure(FIM)を10点刻みで10群に分けた場合、患者がどのように層別化されるか[在院日数、回復期退院時FIM(FIM)、在宅復帰率、回復期退院時の歩行器歩行以上獲得率(歩行能力)]を検討した。2、在院日数、FIM、在宅復帰率、歩行能力、年齢を説明変数としてクラスター分析を行った。3、クラスター分析で得られた分類で患者の階層化を検討した。(FIM、年齢、在宅復帰率、在院日数、歩行能力)クラスター分析は階層的クラスター分析(群平均法)を行い、多群間の比較はKruskal-wallis検定を行った。相関はSpeamanの順位相関係数の検定を行った。方法は大腿骨近位部骨折地域連携パスのデータを後方視的に集計し解析した。【倫理的配慮、説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言を遵守し倫理的配慮を行った。【結果】1、10群に分けた結果、FIM(相関係数0.997、p<0.01)、在宅率(0.741、p<0.05)、歩行能力(0.963、p<0.01)に強い相関がみられた。2、クラスター分析の結果クラスター数が1、2では多様性がなく6以降では非類似度が上昇する傾向が見られた。このことよりクラスター数は5、4、3の3通りの分け方が妥当と思われた。3、3階層(20点~39点、40点~69点、70点~118点)で分けた場合を分類1、4階層(20点~29点、30点~49点、50点~79点、80点~118点)を分類2、5階層(20点~29点、30点~49点、50点~79点、80点~99点、100点~118点)を分類3とした。各分類でのKruskal-Wallis検定ではFIM(p<0.01)と在院日数(p<0.05)で有意差がみられたが年齢は認めなかった。分類1ではFIM(56.1点、96.1点、118.0点)、歩行能力(45.7%、70.0%、81.1%)、在宅復帰率(68.9%、78.0%、84.5%)分類2では(40.5点、63.9点、96.1点、118.0点)(36.3%、50.4%、70.6%、81.1%)(63.6%、71.5%、78.0%、84.5%)分類3では(40.5点、63.9点、96.1点、115.0点、121点)(36.3%、50.4%、70.6%、79.2%、83.1%)(63.6%、71.5%、78.0%、76.5%、92.6%)であった。【考察】受傷後の歩行獲得が在宅復帰を促進することは自明である。しかし術後3週程度経過した急性期病院退院時のFIMを見る限り歩行困難だけでは説明できないほど大きく低下している例も多く散在している。この分散から回復期病院退院時の予後を予測することが可能になれば大腿骨近位部骨折のリハビリ治療の方向性だけでなく転帰先の予測から在宅復帰後の支援も早期から予想できるのではと考えた。現在の地域連携パスは病院間の情報伝達ツールとしての役割は果たしているが、アウトカムの遵守など前向きな活用は乏しい。急性期から在宅生活をも想定し、さらに治療目標を明確にして一貫したリハビリを行う事で時間的な無駄をなくし医療圏全体の病床稼働率を向上できる。病病連携から病診連携そして医療介護間の連携まで包括的で且つシームレスな良質な地域医療の構築に地域連携パスを有効活用すべきである。大腿骨近位部骨折患者のアウトカムによる階層化は必要である。細かくグルーピングするほどFIM、歩行能力、在宅復帰率は層別化できるという利点があるが、階層が増えれば逆に煩雑さが増すことがわかった。今回の結果から大腿骨近位部骨折の予後予想には急性期退院時FIMで3階層に分けることで概ね特徴の分別が出来た。低階層と高階層をさらに分ければ4階層~5階層になる。在院日数は中等階層が最も長く在宅復帰率も高階層ほど高くなっていた。FIMと回復期在院日数に有意差があることから低階層群では歩行に拘らずADL訓練にフォーカスを当てた作業療法との併用も有用な治療方策ではないかと考える。中等階層では歩行でのADLを主体とした在宅復帰に拘ることが必要ではないかと考える。高階層は社会復帰も含めた高度な機能改善を求め且つ在院日数の短縮を目指す必要が示唆された。【理学療法学研究としての意義】患者群を階層化することで機能予後予測や治療方針を早期に決定することが可能になる。その結果医療圏内での病床稼働率が向上し限られた社会資源の有効活用を促進し、包括的なリハビリテーションの質の向上も期待できる。地域連携パスの前向きな有効活用は可能である。
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© 2013 日本理学療法士協会
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