理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-P-23
会議情報

ポスター発表
地域における装具外来の役割
~短下肢装具変更例を中心としての見解~
鳴尾 彰人園山 真弓
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに、目的】 今日、脳卒中後のリハビリテーションにおいて早期から下肢装具を利用した歩行訓練が推奨されており、多くの短下肢装具(以下AFO)が利用されている。自宅退院後のAFOの問題点として、身体機能や生活環境の変化に対して適切なAFOが使用されているかのフォローアップがなされていない事、AFOに関する相談窓口が無いことが挙げられているが、自宅退院後のAFOの調整に対する自宅退院患者のニードは低いとの報告もある。つまり地域の医療機関のAFOに対する役割が明確になっていないといえる。当院ではリハビリテーション医、理学療法士、義肢装具士により、地域におけるAFOの相談・作製・フォローアップを目的とした装具外来を実施している。今回は当院で得た自宅退院後のAFO利用について報告し、地域における装具外来の役割を確認することを目的とする。【方法】 対象は平成21年8月~平成24年10月までの期間当院を受診された脳血管疾患患者431名(男性257名、女性174名、平均年齢66歳)。診療録より、1)基礎情報、2)Functional Independence measure(以下FIM)移動項目・認知項目、3)紹介元病院、4)初診時のAFOの有無、5)AFOの新規作成・変更・修理・再作製状況および装具療法の関わりについて後方視的に調査を行った。【倫理的配慮、説明と同意】 今回の調査は当院倫理委員会の承認を得て行なった。また個人が特定されないよう個人情報の保護に配慮し、実施した。【結果】 初診時AFOを所有していなかったのは342名であり、15名に当院にて新規作製処方が出された。作製されたAFOはオルトップAFOが7名、Gait Solution Design(以下GSD)が3名、プラスチック製短下肢装具(以下P-AFO)が4名、軟性装具が1名であった。新規作製者15名の紹介元は急性期病院からの紹介が75%であった。初診時AFOを所有していた89名のうち、71%が回復期病院からの紹介であった。89名中、AFOの変更は20名で妥当と判断され、脳卒中患者が16名であった。16名中、14名が固定性を下げる変更を行なっており、内訳はP-AFOからの変更が8名と最も多く、変更後のAFOはGSDが3名、継ぎ手つきプラスチック短下肢装具が4名、オルトップAFOが1名であった。8名の平均年齢は48.75歳、FIM認知項目合計平均は35点、移動項目平均は5.63点であった。また特徴としてAFOの変更と共に社会参加場面の拡大を認めており、歩容変化としては立脚期における膝関節の急激な伸展をコントロールすることが可能となっていたケースが半数で認められた。GSD・オルトップAFOからの変更は4名であり、全員がAFOを離脱していた。また2名は固定性を高める変更を行なっており、両者ともP-AFOへの変更であった。変更理由として歩容上の問題点として膝折れが認められ、移動に関する介助負担の軽減が主な目的となっていた。修理や同種のAFO再作製は26名に行なわれていた。【考察】 AFO新規作製者の75%が急性期病院からの紹介であったことから、比較的軽症のケースであっても自宅退院後に生じた問題に対してAFOが適応されることが示唆された。回復期病院を経過しないケースに対するAFO作製は装具外来の役割といえる。 脳卒中患者におけるP-AFOからの変更ケースは比較的若年であり、歩容変化・社会参加場面の変化を認めていた。若年脳卒中患者では歩行能力が高く、コミュニケーション能力が実用的であることで社会参加場面が拡大しやすいと報告されている。さらに今回の結果からP-AFOを利用している歩行能力・認知能力の高い若年脳卒中患者では参加拡大に伴い、AFOの変更が可能である可能性が示唆された。今回の調査では、時系列的な身体機能の変化と理学療法介入、AFOとの関係は明らかになっておらず、今後の課題である。【理学療法学研究としての意義】 自宅退院後のAFO利用について、後方視的な調査を行うことでAFOの作製や調整、変更が妥当と判断されるケースが多くあることが確認され、地域における装具外来の役割が明らかになった。地域におけるAFOのフォローアップには回復期病院同様に、身体機能や生活環境を評価し適切なAFOを選択することのできる専門職種の関わりが必要であることが示されたことに今回の研究の意義があると考える。
著者関連情報
© 2013 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top