理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: G-P-05
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ポスター発表
1年次クリニカルクラークシップ実習(進級準備特別実習)導入における学生の臨床早期体験度
真塩 紀人平林 弦大加藤 研太郎田口 祐介白石 和也高島 恵
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抄録
【はじめに、目的】本学では平成23年度から2年次に進級する直前の準備段階として、1年次後期3月に3日間、クリニカルクラークシップ実習(進級準備特別実習)を導入している。本実習導入の第1の目的は、2年次から開始される学内外の評価・治療学習に備えるためであり、また1年次で学んだ患者の病態や心身機能構造の障害についての早期体験を主眼とすることである。さらに、本実習を通じた実体験を踏まえ、患者の病態や障害に関する1年次の学習内容をより発展的にイメージ化、具体化することも目的としている。今回、本学関連実習施設(病院・介護老人保健施設)における本実習の「学生の臨床体験度合い」を疾患、基礎情報全般、症状・病態、評価(検査・測定)の各々に分けて比較、考察したので報告する。【方法】平成23年3月にクリニカルクラークシップ実習(進級準備特別実習)を3日間体験した1学年(2年次進級見込み)の学生24名を対象とした。学生24名の実習地は、病院16名、介護老人保健施設8名の内訳であった。実習地における見学数と体験数の比較の記載は、「疾患」「基礎情報全般」「症状・病態」「評価(検査・測定)」から成る本学オリジナルの「体験チェックシート」を用いた。「疾患」は脳血管疾患、運動器疾患、呼吸器疾患、心血管疾患等の計20項目、「基礎情報全般」はカルテの記載、情報収集、バイタルチェック等の計8項目、「症状・病態」は脳血管関連、運動器関連、高次脳機能関連等の19項目、「評価(検査・測定)」は意識状態、ROM-T、MMT等の10項目に分類した。統計処理は、Spss.Ver16を使用し、X²独立性の検定にて実習地の各病院と老人保健施設、および見学と体験に分けて比較検討した。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象となる学生へは学内承認のもと、本研究の目的以外に使用しないこと、さらに本実習の「体験チェックシート」の記載内容が、学生の成績に影響を及ぼさないことを説明し、同意を得た上で実施した。【結果】「疾患」の各項目の経験数については、病院で見学136回(8.5回/人)・体験24回(1.5回/人)、老健で見学81回(10.1回/人)・体験18回(2.3回/人)となった。また、体験の有無と施設の関連についてX²独立性の検定では、p=0.001で有意な関連があった。「基礎情報全般」については、病院で見学83回(5.2回/人)・体験75回(4.7回/人)、老健で見学27回(3.4回/人)・体験44回(5.5回/人)となり、見学と体験の有無と施設の関連について、各々p=0.37、p=0.15で有意な関連はなかった。「症状・病態」については病院で見学242回(15.1回/人)・体験98回(6.1回/人)、老健で見学82回(10.3回/人)・体験51回(6.4回/人)であり、体験の有無と施設の関連については、p=0.004で有意な関連があった。「評価(検査・測定)」については、病院で見学70回(4.4回/人)・体験54回(3.4回/人)、老健で見学16回(2.0回/人)・体験19回(2.4回/人)となり、見学と体験の有無と施設の関連については、各々p=0.28、p=0.27で有意な関連はなかった。見学と体験ともに、有意な関連がなかったものについては、調整済み残差による頻度の差も見られず、関連度を表す連関係数も有意ではなかった。今回の結果では、病院の方が「評価(検査・測定)」の体験で1人あたりの経験回数が多い一方、老健は「疾患」、「基礎情報全般」、「症状・病態」についての体験が多い傾向にあった。【考察】2年次への進級準備としての今回の体験実習は、「体験チェックシート」の各項目において、体験に比べて見学の頻度が多く見られた。一方、今回の目的である実習先での「疾患」やその「症状・病態」についての体験度は、施設に関係なく一応の成果が得られ、関連性があった。1年次の総括としての、これらの体験が2年次へのレディネス構築、さらに早期に臨床現場を見聞、体験することにより、既習の学習内容をイメージ化しやすくなると考えられる。しかし、今回の結果では学生個々の働きかけの不足や施設間での体験度の偏りが見られたため、今後も継続的に学校ならびに指導者側との連携により、こうした体験度の差を改善していく必要がある。【理学療法学研究としての意義】初学年で学んだ患者の症状や病態、心身機能構造の障害についての理解度を確認し、さらに次年次へのレディネス構築や患者のイメージ作りを早期の段階から体験しておくことは、学生が今後、成長するためには不可欠なことであると考える。また今回の研究において、実習による学生個々の体験度を知り、効果判定を図ることで、次年度以降の学内外の教育に役立てることができる。
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© 2013 日本理学療法士協会
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