理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: D-P-13
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ポスター発表
当院ICUにおける人工呼吸器管理症例への急性期呼吸リハビリテーションの展開と酸素化改善効果に関する検討
萩尾 敦史山崎 岳志尾崎 史子伊左治 良太高橋 一馬應地 隆明西村 ひろみ田中 尚大野 博司
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キーワード: ICU, 人工呼吸器, 呼吸リハ
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抄録
【目的】当院で人工呼吸器管理を行った症例について、急性肺損傷(acute lung injury:ALI)や急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)等、重症呼吸不全の診断基準や酸素化の指標である動脈血酸素分圧/吸入酸素濃度比(PaO2/FiO2 ratio: P/F比)を指標とし、呼吸リハによる酸素化改善効果を検討した。【方法】対象は2011年4月1日~2012年3月31日に急性呼吸不全の診断で当院ICUに入室された171例から、人工呼吸器管理下で呼吸リハ(体位呼吸療法・用手的呼吸介助手技・端座位等離床)を実施した77例を対象とした。77例から呼吸リハ開始以降も3日間以上の人工呼吸器管理を要した45例を選択し、早期に人工呼吸器を離脱した23例を除外した。その他の除外基準として、診療記録から十分な後方視が困難な9症例を除外した。呼吸リハ開始前日のP/F比からA群(P/F比≦200、n=19)/B群(200<P/F比≦300、n=18)/C群(300<P/F比、n=8)に分類し、呼吸リハ介入前日・当日・3日目のP/F比を比較した。使用された人工呼吸器はドレーゲル社・Savina、コヴィディエン社・Benett840、フィリップス社・BiPAP-visionの3機種であり、血液ガスの分析にはラジオメーター社ABL800FLEXを用いて行った。統計処理にはPF値の比較にFriedman検定を、分散分析にはSteel-Dwass検定を用いた。また検定に先立ち、全てのデータが正規分布に従うとは言えないことをShapiro-Wilk検定で確認した。全ての検定における有意水準はp=0.05とし、データ解析には統計処理ソフト(SPSS version 20.0 for Windows)を用いた。【倫理的配慮】本研究は倫理的側面から個人情報保護に配慮し、個人を特定できない形式でデータの分析・検討を行った。【結果】原疾患内訳は呼吸器35%(n=12)、消化器外科21%(n=7)、脳血管18%(n=6)、消化器内科9%(n=3)、整形外科9%(n=3)、感染症9%(n=3)であった。またARDSの予後を悪化させる因子として知られる敗血症を合併した症例は44%(A群n=5/19・B群n=8/18 ・C群n=6/8)であった。A群では介入前日のP/F比が平均値135±標準偏差42・介入当日が186±63・介入3日後は206±107と改善傾向を示すも、有意差は認めなかった。B群ではP/F比は介入前日で255±30・介入当日344±125・介入3日後は464±98と有意な改善を認めた。C群においては介入前日のP/F比は294±112・介入初日で354±113・介入3日後で423±71と有意な改善を認めた。【考察】ARDSとなるA群のP/F比は改善傾向を示すも有意差を認めなかった。ARDSは肺胞虚脱から著しい低酸素血症が生じる。この低酸素血症は吸入酸素の上昇では改善せず、虚脱肺胞の再開通が必要となる。また肺胞の虚脱と再開通を繰り返せば肺胞壁へのずり応力が生じ、人工呼吸器関連肺損傷(ventilator associated lung injury:VALI)の原因となる。これ対し、人工呼吸器による高PEEP付加と体位呼吸療法による肺胞リクルートメント効果から虚脱肺胞の再開通が期待されたが、有意差を認めなかった。A群が僅かながら改善傾向を示した理由は期待された肺胞リクルートメント効果ではなく、体位呼吸療法による換気血流分布変化による改善と考えた。ALIとなるB群、300<PFであるC群において、呼吸リハは介入初日・3日目とも有意な改善効果を認めた。これはA群で期待された体位呼吸療法(前傾側臥位・腹臥位)による肺胞虚脱の予防・虚脱肺胞の再開通が酸素化を改善させ、体位呼吸療法に併用した用手的呼吸介助手技の実施が人工呼吸器関連肺炎(ventilator associated pneumonia:VAP)を減少・人工呼吸器管理日数延長の可能性を抑制したと考えた。また当院ではICU在室中から積極的な離床を進めており、離床に伴う機能的残気量増加・換気亢進が酸素化の改善に寄与したいと考えた。【理学療法学研究としての意義】本研究においてP/F比<200群への呼吸リハの実施は、酸素化を改善する可能性が示唆された。しかし人工呼吸器管理症例に対する呼吸リハの評価も標準的介入手段も確立されていない。今後はICUにおける呼吸リハの評価・介入手段の標準化への試みを継続し、人工呼吸器管理症例の酸素化とADL改善に寄与したいと考える。
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© 2013 日本理学療法士協会
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