理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: A-S-04
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セレクション口述発表
若齢者と高齢者における筋内脂肪量と筋横断面積との関係
日置 麻也兼平 奈奈島岡 清小池 晃彦吉子 彰人榊原 久孝押田 芳治秋間 広
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抄録
【はじめに、目的】筋萎縮や筋内,筋間にある脂肪の蓄積は加齢に伴って引き起こされる (Overend et al., 1992, Lexell et al., 1988).筋内や筋間に蓄積された脂肪は,糖尿病との関連が示唆されていることから,筋内脂肪の簡便な評価は,生活習慣病に対するリハビリテーションを行う上で重要な評価項目となり得る.筋内や筋間の脂肪の蓄積が確認されているのは,高齢者 (Rice et al., 1988) の他に,脊髄損傷患者 (Elder et al., 2004) や筋ジストロフィー患者ら (Heckmatt et al., 1985)などであり,また,一定期間の不活動後の被検者 (Manini et al., 2007) においても認められる.これらの人々では,筋萎縮に伴い筋内や筋間に脂肪が蓄積されることから,我々は,筋萎縮と筋内脂肪量の増加には関連があると予想した.筋内脂肪や筋間の脂肪の評価については,磁気共鳴映像法 (MRI) を用いて,筋内のどの部位に脂肪が存在し蓄積するのか,画像分析により定量化し評価可能であるが,超音波断層法のエコー強度を指標に筋内に存在する脂肪量を定量的に評価する方法 (Heckmatt et al., 1985) の方がより簡易的である.そのため,実際の現場で応用されるには,エコー強度を基にした筋内脂肪指標の評価が適していると考えられる.本研究では,エコー強度を指標に筋内脂肪量を評価した“筋内脂肪指標”と筋横断面積 (CSA) との関連性を明らかにすることを目的とした.【方法】健常成人男女30 名 (若齢群15 名,高齢群15 名) の,右大腿中央部の外側広筋 (VL) と大腿二頭筋・長頭 (BFl)のエコー強度とCSAを測定した.エコー強度はグレースケールを基に筋内の領域に含まれる全てのピクセルの平均値を算出した.また,臨床用の3TのMRIを用いて右大腿中央部の横断像を撮影し,得られた横断像からVLとBFlのCSAを算出した.若齢群と高齢群の身体特性に有意な差が認められたので,その影響を除くため,Kanehisaら (1994) を参考に,CSA を大腿長 (thigh length, L) により補正した.そして,以下の式により筋量を算出した.筋量 = CSA・L-2 (× 10 -4 )【倫理的配慮、説明と同意】実験に先だって,本実験の概要,目的,実験に伴う危険性,実験から得られる有効について説明し,書面において同意を得た.本実験は名古屋大学医学系研究科の生命倫理委員会の承認を得て実施された.【結果】高齢群は若齢群と比較して,VLおよびBFlともにエコー強度では有意に高値 (ともにp < 0.001),CSAでは有意に低値 (VL, p < 0.001; BFl, p < 0.05) を示した.また,VLおよびBFlにおけるエコー強度とCSAを大腿長で補正した筋量との関連について,若齢群と高齢群ともに有意な相関関係 (若齢群VL, r = -0.32; BFl, r = -0.28 高齢群 VL, r = -0.32; BFl, r = -0.08) を認めなかった.【考察】本研究では,高齢群の大腿部の筋は,若齢群と比較して筋量は少ないが筋内脂肪量は多いことが示され,先行研究と一致した結果であった.我々は,加齢に伴う筋形態の変化を横断的に調査し,筋萎縮と筋内脂肪量の関連性を検討した.両群とも筋内脂肪量と筋量との関連性は認められず,必ずしも萎縮した筋内には脂肪量は増加しないことが明らかとなった.【理学療法学研究としての意義】我々は,非侵襲的で簡易的に使用することができる超音波断層法を用いて筋内脂肪を評価した.この筋内脂肪指標は,生活習慣病予防を目的として運動を行っている幅広い人々に対する,重要なパラメータの一つとなり,将来的には臨床やリハビリテーションの現場で,用いることが可能となるものと考えている.
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© 2013 日本理学療法士協会
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