理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: B-O-13
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一般口述発表
一般病棟における入院曜日と早期リハ開始およびリハ提供体制との関連性
リハビリテーション患者データバンクを用いた検討
松本 大輔白石 成明杉山 統哉鄭 丞媛近藤 克則
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抄録
【はじめに、目的】回復期リハビリテーション病棟では、在宅復帰率を用いた医療の質の評価が導入され、2010年の診療報酬改訂から365日リハなど充実したリハ提供体制が求められている。Matsuiらは、急性期病院において金曜入院例では3日以内の早期リハ開始率が有意に少なく、退院後の自立度にも関連すると報告している。つまり、急性期リハではまだ十分なリハ提供体制が整っているとは言えないことを示していると考えられる。現在、リハ患者の実態把握や臨床研究を目的とし多施設でデータ共有する「リハビリテーション患者データバンク(リハDB)」に約9000例のデータが集積されている。そこで、 本研究ではリハDBの登録データを用いて、一般病棟(急性期)における脳卒中患者の早期リハ開始について、入院曜日やリハ提供体制との関連性を明らかにすることを目的とする。【方法】リハ患者データバンク(以下DB、厚生労働科学研究費補助金H19‐長寿‐一般‐028)に2005年4月から2011年1月までに登録された脳卒中患者9095名のうち、「一般病棟」退院患者は4698名で、このうち選択基準を満たし、欠損値や異常値を示すものは除外した8病院2529名(男性1570名、女性959名:年齢71.8±8.0歳)を対象とした。選択基準は「50名以上の提供施設」「55歳以上84歳以下」「入院時発症後病日7日以内」「在院日数8日以上60日以下」である。患者情報(性別、 年齢、在院日数、発症前・入院時・退院時modified Rankin Scale〔mRS〕等)とリハ提供体制(3日以内の早期リハ開始、リハ医の関与、リハスタッフ充実度等)について、入院曜日を祝日のない平日、祝日のある平日、金曜日、土・日曜日、祝日での比較し、また、リハ医の関与(主治医専門医、非専門医、コンサル医専門医)、リハスタッフの充実施設(10病床あたりのセラピスト数が2.0以上)での比較をおこなった。統計ソフトSPSS20.0Jを用い、χ2検定を用いた。有意水準は5%未満とした。 【倫理的配慮、説明と同意】本研究に用いたデータは日本リハ医学会研究倫理審査会でリハ医療の向上を目指すものであり、疫学調査の倫理指針に照らして倫理上の問題が無いと確認されている.【結果】 入院曜日が祝日のない平日1202名、祝日のある平日220名、金曜日434名、土・日曜日582名、祝日91名であった。3日以内のリハ開始の割合は、祝日のない平日75.5%、祝日のある平日82.2%、金曜日41.9%、土・日曜日68.4%、祝日64.8%で金曜日が最も少なかった(p<0.01)。リハ医の関与での比較において、どの曜日においてもリハ専門医が主治医であると、非専門医やコンサル医よりも3日以内のリハ開始の割合が有意に高く、特に金曜日では、リハ専門医が主治医90.5%、非専門医38.1%、コンサル医23.4%で有意差が認められた(p<0.01)。リハスタッフ充実度について、リハ医の関与にかかわらず、3日以内のリハ開始の割合が有意に高く、特に金曜日では、非専門医では充実施設76.9%、不足施設12.2%、コンサル医では充実施設41.7%、不足施設14.7%で最も大きな格差が認められた(p<0.01)。【考察】今回の結果から、3日以内の早期リハ開始において、入院曜日が金曜日であると、リハ開始が遅れるが、リハ専門医が主治医であることで、その影響を受けにくいことが明らかとなった。また、リハスタッフ充実施設では、特に非専門医やコンサル医であっても、早期リハ開始ができるようになっていた。先行研究から脳卒中リハにおいて、早期かつ積極的な介入が良好な予後につながると報告されていることからも、一般病棟(急性期)においても、早期に積極的なリハ介入を実施できるようなリハ体制の強化(リハ専門医、リハスタッフ増員)が必要であることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】多施設共同データベースを用いた本研究で得られた結果は、急性期病院におけるリハ体制強化の重要性を示し、診療報酬改訂につながる基礎資料となると考えられる。【謝辞】本研究は厚生労働科学研究費助成金(H19-長寿-一般-028)を受けて行った。
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© 2013 日本理学療法士協会
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