理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-P-19
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ポスター発表
日常生活機能評価に着目した重症脳卒中患者の改善経過と支援内容の分析
中村 隼平久保田 健仁中尾 淳片渕 恒後藤 健志宮崎 陽子田口 脩川崎 裕史濱崎 崇史長野 友彦高橋 義和立丸 允啓友田 秀紀村山 謙治小泉 幸毅
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抄録
【目的】回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期リハ)では、近年、日常生活機能評価(以下、機能評価)等による質の評価が導入されており、入院料が3段階へ区分され重症患者に対する関わりが重視されてきている。当院の先行研究では、機能評価の4点以上の改善には、疾患やFIMの得点との関係性が認められた。そこで今回、重症脳卒中患者における改善経過と支援内容を把握し理学療法の介入ポイントを整理するために機能・活動水準の経過及び連携・支援内容について分析した。【方法】対象は、平成22年6月から24年8月までに当院回復期リハを退院した脳卒中患者の内、入院時の機能評価が10点以上の146名とした。診療録より属性10項目(年齢、発症から入院迄の期間、入院期間、入退院時の機能評価・FIM総得点、転帰先等)、入院時及び2週毎の機能水準8項目{下肢Brunnstrom stage(以下、麻痺)、Modified Ashworth Scale、頚部・体幹・非麻痺側下肢筋力等}、活動水準10項目(起居動作・移乗・移動手段等)、連携・支援に関する5項目(カンファレンス、看介護への申し送り、退院前訪問、試験外泊、家族支援)の実施の有無と時期について調査した。解析は、退院時に機能評価4点以上の改善がみられたものを改善群、4点未満の改善にとどまったものを非改善群の2群に分類した。(1)属性項目の比較を行った。(2)機能評価とFIMの相関係数を求めた。(3)機能・活動水準について、経時的変化を繰り返しの二元配置分散分析によって群間で分析した。(4)連携・支援項目について、名義ロジスティック分析で改善、非改善に関係する項目を抽出した。また介入時期についてROC曲線でカットオフ値を算出した。統計解析にはJMPver9を使用し、有意水準5%未満とした。【倫理的配慮】本研究を行うにあたり当院倫理委員会の承諾を受けた。【結果】(1)改善群97名、非改善群49名に分類され、年齢、再発の有無、退院時の機能評価、入退院時のFIM総得点、自宅復帰率で有意差を認めた。入退院時で機能評価を比較すると改善群において、床上安静の指示、どちらかの手を胸元まで持ち挙げられる、危険行動の3項目で有意差を認めず非改善においては、起き上がり、座位、移乗の項目が有意に改善していた。(2)入退院時ともに機能評価とFIM項目の間に強い負の相関を認めた。(改善群:入院時r=-0.66、退院時r=-0.85、非改善群:入院時r=-0.76、退院時r=-0.73 全てP<.0001)。(3)機能・活動水準の変化では、麻痺、体幹筋力、起居動作で群間と期間で有意差を認めた。群内での特徴として改善群では、2週で麻痺が3から4、体幹筋力が3から4、寝返り・起き上がり・座位が介助から見守り、1ヶ月で立ち上がり・立位が介助から見守り、1.5ヶ月で寝返りが見守りから自立、3.5ヶ月で移動手段が車椅子から歩行へとなる傾向であった。非改善群では、2週で体幹筋力が3から4、座位が介助から見守り、2ヶ月で寝返りが介助から見守りとなる傾向であった。(4)連携・支援項目では、名義ロジスティック分析による項目の選択ができなかった。介入時期については、入院から再カンファレンスまでに要する期間46日(感度0.53、特異度0.80、尤度比2.65)のみ算出した。【考察】先行研究では、機能評価とFIMとの関係性は乏しいとされているが、今回対象の入院時機能評価が10点以上の患者ではFIMと相関を認めた。また基本動作に関する項目が有意に改善していたことから活動レベルと関係することが確認された。改善群では、1ヶ月以内に機能水準が有意に改善し、その後は機能の改善に伴う活動水準の改善が認められた。非改善群では、2週で座位までの起居動作が見守りとなるが、その後は介助量の軽減にとどまる傾向にあった。両者を分ける要因としては、入院後約1.5ヶ月で再カンファレンスの実施が寄与していた。これは障害像が重度なため、入院時からの機能・活動レベルの的確なゴール設定が困難であり、約1.5ヶ月後に再カンファレンスを実施し、リハゴールをチ-ムで確認できたことが機能評価の改善につながったと推察した。生活を支援する回復期リハにおいて、連携・支援における関わりについても整理する予定であったが、群間で有意な項目は選出されなかった。その要因は重度な障害への多様の個別的な対応や調査方法が後方視であったことが考えられ、今後の課題としたい。最後に回復期リハでの介入ポイントとして、重症患者に対して入院後1ヶ月間は機能水準により着目すること、入院1ヶ月後を目安として再カンファレンスを開催しチ-ムで方針を再確認することが重要であると考えられた。【理学療法学研究としての意義】入院時の機能評価に着目し、そこから回復期リハにおける重症脳卒中患者への理学療法の介入要点を考えることも意義があると思われた。
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© 2013 日本理学療法士協会
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