理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: G-P-03
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ポスター発表
職業イメージとPTになりたい理由がモチベーションに及ぼす影響
猪股 秀司林 翔平林 佳央梨草島 貴博本間 美妃岩﨑 裕子
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抄録
【はじめに】学生は、入学時はPTになりたいと思って入学するが、その理由や思いの程度は様々である。また、学生生活を送る中で「本当に自分はなりたいのか」、「自分は向いているのか」など悩むことがあり、PTに対するモチベーションが低下することがある。モチベーションが低下すると落ち着いて学業に取り組めず、学業不振につながる。したがって、モチベーションは安定しているほうが望ましい。そこで、今回、モチベーションに職業イメージとPTになりたい理由が及ぼす影響について質問紙調査を行なった。【方法】対象は、理学療法学科1年生84名、2年生87名、3年生81名、4年生78名の計330名(有効回収率100%)。本研究は質問紙を用いた。調査期間は平成24年9月24日~10月1日である。質問紙の構成は、属性、PTを知ったきっかけ、PTになりたいと思った時期、なりたい理由、モチベーションの程度、意欲低下の時期・理由、PTの職業イメージ、PTに向いているか、情動共感性尺度、共感経験尺度である。なお、今回は、研究の目的からモチベーション、職業イメージ、なりたい理由の3つを中心に分析を行った。モチベーションと職業イメージは5段階評価とし、なりたい理由は、内発的・外発的と利己的・利他的という2つの視点で、12項目を作成した。分析は、統計解析ソフトPASW Statistics 18を用い、モチベーションおよび職業イメージについては平均値および標準偏差を算出した。また、職業イメージとモチベーションの関係についてはピアソンの相関係数の検定を行い、なりたい理由とモチベーションの関係は理由別にモチベーションの平均値を算出し、対応のないt検定を行った。【倫理的配慮、説明と同意】倫理的配慮として、対象には調査研究目的を文章で説明し、データは統計的に処理すること、その際、個人が特定されることがないよう個人情報保護に十分注意を払うことを伝え、回答用紙を提出してもらうことにより、研究同意が得られたとみなした。【結 果】1)職業イメージの明確さとモチベーション:職業イメージの明確さは全体で3.28 ±0.78であった。学年が上がるにつれて、平均値はわずかに上昇していたが、各学年間で明らかな違いは認められなかった。また、モチベーションとの全体の相関係数はr = 0.22(p<0.01)であり、両者の間に弱い相関が認められた。学年別では2年r = 0.45(p<0.01)と3年r = 0.26(p<0.05)で相関が認められた。2)内発的動機-外発的動機とモチベーション:全体でも各学年においても内発的動機のほうが多かった。また、モチベーションは全ての学年において内発的動機のほうが外発的動機よりも統計学的に有意に高かった(p<0.05)。3)利他的動機-利己的動機とモチベーション:全体ではやや利己的動機のほうが多かった。また、全体的には利他的動機のほうが、わずかにモチベーションが高く、学年別では1年を除いて利他的動機のほうが、モチベーションがやや高い結果となったが、統計学的な有意差は認められなかった。【考 察】1)職業イメージの明確さとモチベーション:職業イメージが明確であるほどモチベーションが高いという関係が認められた。しかし、最も職業イメージが明確であり、モチベーションも高いと考えた4年では、その関係が認められなかった。この理由として、4年では、臨床実習を経験したことで、様々なPTやPTの手技の見学や実際に自分が行う中で、それまで自分なりの職業イメージでしかなかったのが、現実には多様であることを実感し、明確な職業イメージではなくなったと推察される。2)内発的動機-外発的動機とモチベーション:内発的動機のほうが、モチベーションが高かった理由として、内発的動機は、何かに対する興味を満足させるため、もしくは達成感を得るための動機であることから、積極的にPTになりたいと思う状態であったと考えられる。また、外発的動機のモチベーションが低かったのは、自ら進んで行動しているのではなく、やらされているという気持ちで行動しているためであると考えられる。3)利他的動機-利己的動機とモチベーション:利他的動機のほうが、わずかにモチベーションが高かった。しかし、両者で大きな違いがみられなかったのは、利己的動機は「成長することで人のためになりたい」や「資格を取ることで何かに貢献したい」など、利他的動機も含まれているとも考えられ、両者は必ずしも明確に分けることができない部分を含んでいるためと推察された。【理学療法学研究としての意義】 近年、養成校が急増し、学生の質も多様化している。入学後のモチベーションの低下や学業不振などに対応するためにも職業イメージやモチベーションの内容について研究することは意義がある。
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© 2013 日本理学療法士協会
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