理学療法学Supplement
Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-MT-15-6
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整形外科診療における筋量サルコペニアの実態
―腰部脊柱管狭窄症術後と脊椎椎体骨折の年代別有病率―
丸 貴仁高橋 和来山田 大介田中 翔安岡 宏樹
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抄録

【はじめに,目的】超高齢化社会の現在,要介護認定者の約4人に1人が整形外科的疾患であり,サルコペニアによる転倒から骨折によるADL・QOL低下が話題となっている。しかし,急性期医療現場における実態は不詳である。今回我々は整形外科疾患におけるサルコペニアの実態について検討したので報告する。【方法】当院整形外科にて骨格筋量を測定しえた脊椎脊髄疾患症例,60歳以上の高齢者男性91例,女性158例,計249例を対象とした。男女各々疾患別に腰部脊柱管狭窄症術後(以下LCS例)男性60例,女性66例と脊椎椎体骨折例(以下骨折例)男性31例,女性92例について,各年代別に60歳代(以下A群),70歳代(以下B群),80歳代以上(以下C群)と分類した。骨格筋量の評価はbioelectrical impedance analysis(以下BIA法)を用いて骨格筋量指標Skeletal muscle mass index(以下SMI)を算出した。Chenらの男性7.0kg/m2,女性5.7kg/m2を筋量サルコペニアのCut off値とした。全体と各群での筋量サルコペニアの有病率とSMI平均値(以下平均SMI)をそれぞれ男女各々について検討した。【結果】筋量サルコペニアの有病率は,LCS例,全体・A群・B群・C群それぞれ男性では38/58例(65.5%),10/16例(62.5%),16/27例(59.2%),12/15例(80.0%),女性では54/64例(84.4%),8/12例(66.7%),29/33例(87.9%),17/19例(89.4%)となった。骨折例,全体・A群・B群・C群それぞれ男性では30/31例96.8%,3/3例(100%),9/10例(90.0%),18/18例(100%),女性では88/92例(95.7%),9/10例(90.0%),35/38例(92.1%),44/44例(100%)であった。また,平均SMIはLCS例,全体・A群・B群・C群それぞれ男性では6.65kg/m2,6.72 kg/m2,6.82 kg/m2,6.24 kg/m2,女性では5.15 kg/m2,5.56 kg/m2,5.15 kg/m2,4.87 kg/m2となった。骨折例,全体・A群・B群・C群それぞれ男性では5.82 kg/m2,6.07 kg/m2,6.01 kg/m2,5.67 kg/m2,女性では4.66 kg/m2,4.77 kg/m2,4.99 kg/m2,4.34 kg/m2であった。【結論】幸らは地域住民を対象とした,筋量サルコペニアの有病率では,65歳以上の男性の36.9%が,女性の23.1%がそれぞれサルコペニアに分類されたと報告しているが,本研究ではLCS例,骨折例全体でそれぞれ男女ともに有病率が非常に高い値を示した。各年代別においても平均SMIはカットオフ値を下回り,さらにLCS例よりも骨折例で低値を示した。先行研究では骨格筋量と骨密度が相関していることが言われていることからも,高齢脊椎脊髄疾患例においては疾患特有の疼痛や神経症状とともに,サルコペニアや骨粗鬆症による転倒や骨折のリスクを考慮したリハビリテーション介入が必要であると考えられた。また,超高齢化社会において整形外科診療に携わる医療従事者は,サルコペニアについての理解を深めていく必要性があるのではないかと考えられた。

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