理学療法学Supplement
Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O-KS-13-5
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口述演題
脳出血後のスキルトレーニングが大脳皮質および線条体のAMPA受容体サブユニットに与える影響
玉越 敬悟大西 秀明高松 泰行石田 和人
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抄録

【目的】これまでの研究で脳出血後のスキルトレーニングは,大脳皮質および線条体のシナプス可塑性関連タンパクの発現を増加させることを明らかにした。本研究では,脳出血後のスキルトレーニングが大脳皮質および線条体におけるAMPA受容体サブユニットに与える影響について検討した。【方法】実験動物にはWistar系雄性ラット(250~270 g)を用いた。対象を無作為に偽手術群(SHAM群:n=6),脳出血+非運動群(ICH群;n=6),脳出血+スキルトレーニング群(ICH+AT群;n=6)の3群に分けた。脳出血モデルは,まず,ラットを深麻酔下にて脳固定装置に装着した後,頭頂部の皮膚切開を行い,頭蓋骨表面のブレグマから左外側3.0 mm,前方0.2 mmの位置に小穴をあけ,次に,マイクロインジェクションポンプにつないだカニューレを頭蓋骨表面から6.0 mmの深さまで挿入し,コラゲナーゼ(200 U/ml,1.2 ul)を注入して作製した。スキルトレーニング群は,全身の協調運動,運動学習が必要なトレーニングとしてアクロバッティック課題を実施した。トレーニング内容は,格子台,縄梯子,綱渡り,平行棒,障壁の5課題で各コース長1 mを移動させた。介入は,術後4~28日まで,1日4回実施した。感覚運動機能評価はmodified limb placingとpostural instability testを用いて経時的に実施した。脳出血後29日目に深麻酔下で潅流脱血を行い,両側の大脳皮質感覚運動野および線条体を採取した。リアルタイムPCR(ABI 7300 PCR system)を用いて,AMPA受容体サブユニットであるGluR1,GluR2,GluR3,GluR4のmRNA発現量を解析した。定量方法はΔΔCt法を用いた。【結果】運動機能評価から前肢の運動機能障害についてICH+AT群は,ICH群より有意な改善を示した。AMPA受容体サブユニットのmRNA発現量の解析から,傷害側大脳皮質の全APMA受容体サブユニットにおいてICH+AT群は,ICH群より有意に高値を示した。非傷害側においては,ICH+AT群とICH群に有意な差はなかった。また,線条体においても両側でICH+AT群とICH群に有意な差はなかった。【結論】本研究から脳出血後のスキルトレーニングによる前肢運動機能回復の促進は,傷害側大脳皮質感覚運動野の全AMPA受容体サブユニットが関与していることが示された。AMPA受容体はシナプスの伝達効率を上げる役割を担っていることから,脳出血後のスキルトレーニングは長期増強を誘導し,機能回復を促進させたと考えられる。

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© 2016 日本理学療法士協会
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