主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
【背景および目的】
海外では肺高血圧症(PH)患者のQOLは低下しており、運動耐容能や血行動態指標と関連することが報告されている。しかし、本邦のPH患者におけるQOLと運動耐容能や血行動態指標との関連は明らかとなっていない。本邦におけるPH患者のQOLに影響を及ぼす因子について検討した。
【方法(または症例)】
対象は2016年に当院において右心カテーテル検査を施行した131例(男性:29%、38例、女性:71%、93例)で、血行動態指標に加えて上下肢筋力検査、6分間歩行検査(6MWD)ならびにSF-36によるQOL評価を行った。SF-36の下位項目である全般的健康感(GH)を目的変数として、臨床的背景因子、血行動態指標、上下肢筋力、6MWDを説明変数とした重回帰分析を行い、PH患者のQOLに影響を及ぼす因子を検討した。
【結果】
対象は年齢58(42-68)歳、持続静注療法21例、酸素療法35例、mPAP 22(17-31.5)mmHg、握力21(17-27)kg、膝伸展筋力4.3(3.3-5.1)N/kg、GH 42.4(34.3-45.1)点、6MWD 397(328-480)mであった。重回帰分析の結果、6分間歩行距離がGHに影響を与える有意な項目として抽出された(p<0.05、R2:0.16、β:0.018)。
【考察および結論】
対象は軽症のPH患者であったが、GHは国民標準値を下回っており海外の報告(GH:38-45点)と同様にQOLが低下していることが示された。また、対象が軽症であったため今回は血行動態との関連が低かったことも示唆されるが、軽症PH患者のQOL(GH)には、血行動態や治療形態よりも、運動耐容能が強く影響を与える。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に沿って実施した