理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-CV-8-31
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ポスター発表
末梢動脈疾患に対するEVT前後のABIと歩行距離の変化
正木 信也村田 雄二
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キーワード: 末梢動脈疾患, ABI, 歩行距離
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抄録

【背景および目的】末梢動脈疾患における主要な症状として間欠性跛行が挙げられる.下肢主幹動脈の狭窄や閉塞により,運動時の筋への血流増加が制限されることで下肢の疼痛や跛行を生じるため,活動量は制限される.また,近年歩行速度と生命予後の関連性も報告されている.今回,間欠性跛行を有する末梢動脈疾患患者に対してEndovascular Treatment(以下EVT)施行前後のAnkle Brachial Pressure Index(以下ABI)と6分間歩行距離を比較することで下肢血流と歩行距離について検討することとした.

 

【方法】対象は当院にてEVTを施行された10例(平均年齢72±9歳,男性9名,女性1名.そのうち外来での心臓リハビリテーション継続者は3例).EVT前とEVT後約1ヶ月後の治療側のABIと6分間歩行距離を測定した.統計処理は測定値について事前に等分散,正規性を確認し,それぞれ対応のあるt検定にて比較した.統計学的有意水準は5%とした.

 

【結果】ABIはEVT前:0.63±0.1,EVT後約1ヶ月:0.97±0.11であり,有意差を認めた(p<0.01).歩行距離はEVT前:351.4±88.9m,EVT後約1ヶ月:416.2±58.6mであり,有意差は認められなかった(p=0.43).

 

【考察および結論】EVT後約1ヶ月の段階ではABIの評価から血流に関しては有意な改善が認められたが,6分間歩行距離に関しては有意な改善は認められなかった.末梢血管疾患は罹患期間が長いため,間欠性跛行に伴う活動量の低下が長期間となり,歩行能力が低下していると考えられる.そのため血流改善後も短期間では歩行能力の改善が認められなかったと予測される.歩行能力の改善のためには,EVT後の外来や在宅での継続したリハビリテーション介入の必要性があると思われる.今後は症例数を増加するとともに,長期経過の確認や,EVT後のリハビリテーション実施群と未実施群の比較を行いリハビリテーション介入の効果を確認するなど更なる検討を行いたい.

 

【倫理的配慮,説明と同意】対象者に研究の趣旨を説明し,データの使用に同意を得られた者のデータのみ使用した.

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© 2019 日本理学療法士協会
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