理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O-RS-2-11
会議情報

口述発表
膠原病関連間質性肺炎増悪期から呼吸リハビリテーションを長期実施して自宅退院を達成した一症例
小林 武史藤原 裕太尾形 知美小野 央人三塚 由佳高橋 識至
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【背景・目的】近年間質性肺疾患 (以下ILD) に対する呼吸リハビリテーション (以下呼吸リハビリ) の有効性は多く報告されているが,ILD急性増悪期や膠原病関連間質性肺疾患 (以下CTD-ILD) に対する呼吸リハビリのエビデンスは明確でない.CTD-ILD増悪の急性期から,自宅退院に向けて呼吸リハビリを長期実施した症例を報告する.

 

【症例】65歳男性.2年前に関節リウマチとCTD-ILDの診断.リウマチによる著明な関節症状はなく,増悪前は仕事や活動的な趣味を行っていた.X-2日に急性呼吸不全のため入院となり,抗菌薬とステロイド投与および7L/分リザーバーマスク (以下RM) による酸素療法開始となった.

 

【結果】X日から6~8L/分RM使用下で急性期呼吸リハビリ開始した(FIM 92点、ベッド周囲基本動作でSpO2 80%前半まで低下,修正Borg scale 1).X+6日に再増悪し,非侵襲的陽圧換気療法 (以下NPPV) 開始となり,NPPV下で離床練習を実施した.X+17日に終日NPPV離脱し,X+21日に8L/分RMで歩行練習開始(10m歩行でSpO2 88%).また,積極的な運動療法とADL練習を開始した.X+38日から実施されたステロイドパルス療法にて酸素化が改善し,X+77日から5~7L/分オキシマイザーペンダントにて院内歩行開始.X+90日時点で,治療を継続中で,酸素流量が高流量であることを理由に,自宅退院が困難であり,呼吸リハビリを継続した.X+142日に,6分間歩行試験実施できるまで回復した(距離285m,SpO2 96→88%,修正Borg scale 2).在宅酸素療法(安静時2L/分,労作時3L/分オキシマイザーペンダント)を導入し,X+143日に自宅退院となった(FIM 123点).退院後は温泉旅行など趣味の継続ができている.

 

【考察および結論】重症例であり治療が長期化したが,急性期からの運動療法とADL練習の長期継続で,廃用やステロイドに伴う筋力低下によるADL障がいを改善し,自宅退院を可能にしたと考える.

 

【倫理的配慮,説明と同意】

本学会における発表にあたり,検査データやリハビリ介入時に得られたデータ及び,リハビリの経過について報告することを説明し,書面にて同意を得た.また,同意の撤回はいつでも可能であり,その際に不利益になることは無いことを説明した.

著者関連情報
© 2019 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top