理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O-RS-3-14
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口述発表
当院の食道癌患者に対する術前呼吸リハビリテーションの有効性の検討
-術前呼吸機能と術後呼吸器合併症の関連-
渡辺 一彦成瀬 亜紀冨口 若菜小山 雄二郎水田 博志
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抄録

【背景・目的】

近年、食道癌根治術に対して術前呼吸リハビリテーション(以下、呼吸リハ)が術後呼吸器合併症の予防に有効であるとの報告が幾つかある。しかし、術後呼吸器合併症と術前呼吸機能との関連については未だ不明な点も多く、また術前リハビリテーション対象者の選定に術前呼吸機能はあまり考慮されていない場合もある。そこで今回、当院における食道癌切除再建術施行患者を対象とし、術前呼吸機能別に呼吸リハと術後呼吸器合併症との関連について比較検討した。

 

【方法または症例】

対象は当院にて2016年1月から2017年7月の期間に食道癌に対して食道切除再建術を施行した57名(男性50名、女性7名、年齢68.7±1.0歳)であった。対象者を術前呼吸機能検査の結果から%VC<80%またはFEV1%<70%の低下群と、%VC≧80%かつFEV1%≧70%の正常群に分けた。さらに各群を呼吸リハ実施の有無別に低下・実施群8名(男性8名、女性0名、年齢71.3±5.3歳)、低下・非実施群11名(男性9名、女性2名、年齢71.0±5.3歳)と、正常・実施群9名(男性6名、女性3名、年齢68.8±8.6歳)、正常・非実施群29名(男性27名、女性2名、年齢67.1±8.4歳)に分けた。低下群、正常群それぞれにおいて術後呼吸器合併症をカルテより後方視的に比較検討した。2群間の比較にはχ2検定を用いた。統計解析はSPSSver.20を使用し有意水準は5%未満とした。

 

【結果】

術後呼吸器合併症の発症数は低下・実施群1名、低下・非実施群5名(p=0.147)、また正常・実施群4名、正常・非実施群20名(p=0.174)であり、いずれも有意差は認めなかった。

 

【考察および結論】

呼吸リハの効果として、術前呼吸機能別にみると術後呼吸器合併症の発症数に有意差はなかった。これは、術前呼吸機能のみならず他の因子が関連し術後呼吸器合併症の要因となっている可能性がある。また、呼吸リハ実施群では術後呼吸器合併症が少ない傾向であり、術前呼吸機能を問わず呼吸リハの有効性が示唆された。

 

【倫理的配慮,説明と同意】

ヘルシンキ宣言に則って個人情報の管理に十分配慮し、患者情報を診療録より抽出した。また本研究は開示すべき利益相反関係にある企業はない。

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