主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
【背景】
当院での外来呼吸リハビリテーション(以下,呼吸リハ)の効果として6MWD,SGRQ(total score),HADS(不安スコア)の改善を有意に認めている.呼吸リハの効果は下肢持久力訓練が最も有効であるとされる.しかし,呼吸リハを継続するためのモチベーションの維持が難しいとされる.
バーチャル運動負荷システムとは,風景画像とスタンプラリーを組み合わせ運動することで単調さの軽減と継続利用への動機づけを行えるとされる.
今回,近畿大学理工学部情報学科と共同で慢性呼吸器疾患患者の呼吸リハにおけるバーチャル運動負荷システムの活用について検討した.
【方法】
当院に外来通院中のGOLDstage1~4期の安定期COPD患者で,外来呼吸リハを12セッション(1-2セッション/週)以上,参加できた6例(男性6名 年齢78.0±4.6 在宅酸素療法1名)を対象とした.外来呼吸リハ介入前とバーチャル運動システムを使用した下肢持久力訓練を12週間介入後の2群に群分けした.
評価項目は運動耐容能(6MWD),QOL(CAT)とした.加えて,バーチャル運動システムを使用したCOPD患者15名にアンケートを実施した.質問項目は“運動の意欲”“運動の効果”“運動時の息苦しさ”とした.
統計処理として2群の各項目の前後の変化についてWilcoxon の符号付き順位検定を用いて検討し,有意水準を5%未満とした.
【結果】
6MWD(p<0.05)とCAT(p<0.05)に改善を認めた.バーチャル運動システムに関するアンケートの結果から運動意欲の向上,運動時の呼吸困難感の軽減を認めた症例が約50%であった.
【考察および結論】
バーチャル運動負荷システムを使用した呼吸リハによっても運動耐容能,QOLが有意に改善した.呼吸リハを継続するためのモチベーションを維持することは難しいとされる.本システムを使用することで運動意欲を向上させることができ,呼吸リハの継続に繋がるのではないかと考える.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は近畿大学医学部倫理委員会において承認され,各患者には同意を得て実施している.