理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-RS-1-3
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ポスター発表
3ヵ月の外来呼吸リハビリテーションは慢性閉塞性肺疾患患者の長期的な呼吸機能の変化に影響を与えるか?
田村 宏玉木 彰名和 厳兪 陽子
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抄録

【はじめに】慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する呼吸リハビリテーション(PR)は,生命予後や疾患の進行予防において生涯にわたり継続的な介入が有益であると報告されている.しかしながら,PRが身体機能に与える長期的な影響について述べた報告は散見されるものの,呼吸機能においては明らかにされていない.そこで本研究では,3ヵ月のPRがCOPD患者の呼吸機能に対して長期的な影響を与えられるか明らかにすることを目的とした.

 

【方法】対象は2年間の経過観察が可能であったCOPD患者GOLDⅡ期14名(年齢77.9±5.1歳,BMI21.6±4.2,男性10名,女性4名)で,3ヵ月のPRを実施した介入群6名とPRの処方がされなかった対象群8名とした.PRは呼吸リハビリテーションマニュアルより呼吸法などのコンディショニングと筋力トレーニングを週1回,3ヵ月間,外来にて実施した.呼吸機能の評価はスパイロメーターを用いて1秒率(FEV1.0%),1秒量(FEV1.0),努力性肺活量(FVC),最大吸気量(IC),最大呼気流力(PF),1回換気量(TV)を測定し PR3ヵ月前,PR初期,6ヵ月後,1年後,2年後に測定されたデータを後方視的に抽出した.統計処理は,介入と期間を要因とした反復測定二元配置分散分析を用いて介入群と対象群を比較した後Tukey法による事後検定を実施した.有意水準は5%とした.

 

【結果】各期間における両群間の呼吸機能変化においてTVに交互作用を認め,介入群におけるTVのPR初期は0.63±0.31Lから6ヵ月後は1.15±0.16Lと有意に増加した(p<0.05).それ以降1年後,2年後ともに有意な減少を認めなかった.対象群は有意な経時的変化を認めず低下を示した.

 

【考察】TVはCOPD理学療法診療ガイドラインより呼吸機能の指標として長期効果を検討すべき重要な指標と提言されている.本研究より介入群のTVがPR初期より6ヵ月間有意に増加を認めたことから,COPD患者の長期的な呼吸機能の変化に少なからず影響を与えたものと推察された.

 

【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,市立芦屋病院倫理委員会の承認を受けており,全ての対象者または家族に同意を得た.データは個人情報保護に十分に留意して管理した.

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© 2019 日本理学療法士協会
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