理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
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シンポジウム
予防理学療法領域における産業・栄養・嚥下部門の活動から相互作用を見出す
大渕 修一
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p. C-19

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抄録

 日本予防理学療法学会では,予防理学療法学を「国民がいつまでも“参加”し続けられるために,障害を引き起こす恐れのある疾病や老年症候群の発症予防,再発予防を含む身体活動について研究する学問である」と定義した。予防には,元気なときからの心がけである一次予防,リスクが顕在化してからのリスク制御の二次予防,既に発症してからの再発予防である三次予防があるがいずれにおいても,物理療法を含む,身体活動の予防的効果は高い。産業部門においては,職場内で問題となる腰痛や怪我,嚥下部門においては誤嚥性肺炎,そして栄養部門においては生活習慣病と高齢期の新型低栄養と関連する領域は多い。

 こうした部門との相互作用で学術的に期待されるところは,俯瞰的価値の創造である。日本理学療法士学会を母体としているため横断的に議論をすることなしにはどうしても職域拡大としてのエビデンスの後付になりがちである。各部門と連携することによって,哲学の領域で議論することが可能となり,純粋な科学を追求することができる。

 予防理学療法学として確立したいものとして,アクションリサーチなど予防理学療法学に必要とされる方法論を発展がある。StaRI 声明など実践研究における方法論の合意の動きがあるが,科学的に再現可能,さらには類似の研究と比較可能なものとするには,各部門と研究報告を続け,方法論の合意のプロセスが必要と考えている。特に介入のプロセスの定量的な記述は鍵になると考えている。一方,これは同時にプロトコルの巨大化を招き研究実施の閾値を上げる。各部門との連携によってこの大きな課題を解決したい。

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© 2019 日本理学療法士協会
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