主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
p. C-28
世界でもトップレベルの長寿社会を実現した我が国の最も重要な課題として,平均寿命と健康寿命の乖離を縮小していくことがあげられる。循環器病と脳卒中の特徴の一つとして,軽快と増悪を繰り返しながら長期的に身体機能やQOL が低下することがあげられ,両疾患の入退院にかかわる医療費は全医療費の20% を占め,がんの1.5 倍におよぶ。このような我が国の状況を鑑み,日本循環器学会と日本脳卒中学会は,関連19 学会と協力して『脳卒中と循環器病克服5 ヵ年計画』を作成し,脳卒中と循環器病による年齢調整死亡率を5 年間で5%減少させること,健康寿命を延伸させることを,大目標と設定し,これらの目標を達成するために,3 つの疾患(脳卒中・心不全・血管病)に対し,5 つの戦略(人材育成,医療体制の充実,登録事業の促進,予防・国民への啓発,臨床・基礎研究の強化)をかかげて実行している。これらの疾患の1 ‒ 3 次予防において身体活動は極めて重要な介入ポイントであり,理学療法士が担う役割は大きい。近年の報告では,さまざまな研究で循環器疾患のリスクファクターが認知症,フレイル・サルコペニア発症のリスクファクターになることが示されており,循環器病の予防活動はこれらの老年症候群の発症・進展抑制につながる可能性がある。
本パネルディスカッションでは,循環器領域において取り組むべき課題と現状について提案し,皆様と議論できれば幸いである。