主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
【はじめに,目的】
慢性足関節不安定症(Chronic Ankle Instability:CAI)は,足関節捻挫を繰り返すことで,足関節に慢性的な不安定感を生じる病態である。CAIを有する脚は,足関節外反筋力が低下することがあるが,筆者らの超音波画像を用いた先行研究では足関節外反筋である長腓骨筋の筋断面積の減少は認めなかった(酒井ら,2017)。本研究では,CAIを有する脚の長腓骨筋の筋内脂肪量が増加しているかを調査した。
【方法】
本研究の対象は,片脚にCAIを有する成人男性9名とし,CAI側と非CAI側に別けた。測定項目は足関節外反筋力,長腓骨筋の筋横断面積,筋内脂肪量とした。筋内脂肪量の指標には,超音波画像から算出する筋輝度を用いた。筋輝度は筋内脂肪量が多いほど高値を示す。統計学的解析には,群間の比較に対応のあるt検定を行った。
【倫理的配慮】
本研究は,広島大学疫学研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号:E-957)。
【結果】
足関節外反筋力は,CAI側で16.7%有意に低値を示した(p<0.05)。筋横断面積に有意な差はなかった。筋輝度は,CAI側で4.0%有意に高値を示した(p<0.05)。
【考察】
CAI側の長腓骨筋では筋横断面積に変化はないが,筋内脂肪量が増加していることが示された。足関節外反筋力低下の原因は,筋断面積の減少ではなく,筋内脂肪による非収縮性組織の増加の可能性がある。足関節外反筋力回復の可能性と,超音波画像の変化について研究を進めたい。