理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 2-P-D-1-4
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ポスター演題
ハンドヘルドダイナモメーターを用いた体幹伸展筋力測定の信頼性の検討
鈴木 優太則竹 賢人窪 優太矢澤 浩成
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抄録

【はじめに、目的】わが国では70歳代前半の25%,80歳以上の43%が圧迫骨折を生じると報告されている.また,骨折後の脊柱の変形による消化器,呼吸器系の機能障害や疼痛は日常生活動作や生活の質を低下させるため,対策が必要である.圧迫骨折患者に対する体幹伸展筋力の強化は脊椎圧壊の予防や痛みの軽減に効果があるとされており,筋力強化を図ることが重要である.したがって,筋力訓練に対する効果を検証するために,簡便に測定可能で,客観的測定値が得られる体幹筋力測定方法の開発が必要である.実際に,Parkら(2017)や澤ら(2015)は,ハンドヘルドダイナモメーター(以下,HHD)を使用した体幹伸展筋力評価の妥当性と信頼性を報告している.しかし,これらの研究ではTh3のみでしか信頼性・妥当性が確認されていない.高齢圧迫骨折患者では,脊椎変形による脊柱後弯をきたす可能性が高く,Th3での測定が困難な場合も想定される.したがって,本研究ではTh6,Th9,Th12における同様の測定方法での信頼性を確認することを目的として,予備的に健常若年者における調査を実施した.

【方法】対象は,健常の20代男性9名であった.測定には,HHD(μTas F-100,アニマ社)を使用した.測定部位はTh3,Th6,Th9,Th12とし,澤ら(2015)の方法に準じて 体幹伸展筋力を測定した.測定における1回の筋収縮時間は5秒とし,3回測定した.その際,測定間隔は,30秒とした.分析には2回目と3回目の値を各対象者の体重で除した値を用いた.各対象者における測定順序は,ランダムに決定した.統計分析は,検者内信頼性については級内相関係数を用いた.Th3とその他の部位との関連の分析にはPearsonの相関係数を用いた.その際,各対象者における最大値を用いた.

【結果】各測定部位の平均値は,Th3は0.24kgf/kg,Th6は0.36kgf/kg,Th9は0.47kgf/kg,Th12は0.60kgf/kgであった.級内相関係数に関して,Th3は0.96,Th6は0.93,Th9は0.93,Th12は0.92であった.Th3と各々の部位の相関は,Th6はr=0.71(p=0.03),Th9はr=0.74(p=0.02),Th12はr=0.77(p=0.01)であった.

【結論(考察も含む)】本研究では,全ての測定部位での検者内信頼性が高く,Th3とTh6,Th9,Th12には強い相関が認められた.これは,澤らの測定方法がTh3以外の部位でも同様の信頼性を有しているためであると考えられた.本研究で用いた体幹伸展筋力の測定方法は,Th3以外の部位でも測定可能であることが示唆された.

【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,東海記念病院の倫理審査委員会の承認を得た.対象者には書面にて説明を行い,同意を得た.

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© 2019 日本理学療法士協会
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