理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-2(1)-2
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ポスター発表
ツイスター装具が歩行に及ぼす影響について
齋藤 麻梨子風祭 総子久保 加世子北川 由佳嶋田 泉司
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抄録

【はじめに】

理学療法の臨床場面では小児の脳性麻痺で両麻痺を呈し、股関節の内転内旋が著明な場合に鋼策ケーブルツイスター装具(以下、ツイスター装具)を使用することがある。ツイスター装具を装着した歩行では股関節の内旋内転が軽減するだけでなく、歩行速度の向上も経験する。しかし、ツイスター装具に関する報告はごく少数であり、装着の有無による歩行への影響は不明である。

 そこで、ツイスター装具装着時、未装着時の歩行速度、歩数、歩幅、立脚期および遊脚期の変化を調査することにした。

【方法】

対象は2018年4月現在で岩手県立療育センターにおいて理学療法を受けている脳性麻痺で、ツイスター装具を1年以上使用している歩行可能な児(歩行補助具の有無は問わない)とした。また、過去1年以内に整形外科手術を受けた児、4か月以内にBOTOX療法を受けた児、指示に従えない児は除外した。基準を満たしたのは6例(男児4例、女児2例)で、平均年齢は9.2±1.5歳であった。

 方法はツイスター装具装着時と未装着時の2条件で10m歩行を実施し、10m歩行時の速度、歩数、歩幅を測定した。また、同時にビデオ記録を行い、立脚期および遊脚期の時間を計測した。10m歩行は各条件で3回ずつ実施し、その平均値を算出した。立脚期および遊脚期はビデオ上で各条件での3歩行周期分を計測し、それぞれの平均値を算出した。

【結果】

6例の歩行パラメーターをそれぞれツイスター装具未装着/装着の順に示す。歩行速度(m/秒)は0.99/1.18、0.38/0.68、0.80/0.86、1.03/1.17、0.55/0.51、0.97/0.99であり、ツイスター装具装着下では6例中5例で速くなった。歩幅(m)は0.38/0.44、0.25/0.36、0.40/0.43、0.36/0.42、0.26/0.29、0.55/0.56であり、ツイスター装具装着下で全例が拡大した。遊脚期時間(秒)は0.32/0.31、0.40/0.49、0.33/0.32、0.39/0.41、0.24/0.26、0.43/0.50であり、ツイスター装具装着下では6例中4例で遊脚期が延長した。

【考察】

ツイスター装具装着下で遊脚期が延長、つまり、片脚支持期が延長した。これより、ツイスター装具装着により片脚での支持性が向上した可能性が考えられる。さらに、歩幅が拡大したことから、片脚支持期での支持性の向上により、振り出しが容易になったのではないかと思われる。よって、ツイスター装具は片脚支持期の安定性の向上に寄与し、歩行速度向上の一因になったのではないかと考えられた。

【倫理的配慮,説明と同意】

本人、ご家族には研究に関して説明し、書面にて同意を得た。

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© 2019 日本理学療法士協会
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