抄録
ドライバー不足がボトルネックとなる中、高齢者等の移動手段の確保策として期待される自動運転システムには、安全性、採算性、柔軟性が重要で、安全面では2023年4月施行の改正道路交通法で同乗者なしの遠隔監視でよいことになった。採算面では遠隔監視(1対多)が有効で、福井県永平寺町はこれを誘導方式で実施している。ただし、より柔軟なまちづくりには非誘導方式が好適で、静岡県はこれに加えデジタルツイン整備で正確性と効率性を確保し、自動運転に一定の方向性を示している。本稿では静岡県の事例から、公共がデジタルインフラを整備し広域的に導入することで経済的ハードルを下げ、高齢者の移動問題への政策的意義が高まると結論づけた。