日本口蓋裂学会雑誌
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原著
矯正治療中の口唇顎裂もしくは口唇口蓋裂を伴う患者の保護者における心理状態と関心事
福重 雅美前田 綾上原 沢子植田 紘貴帆北 友紀中村 典史宮脇 正一
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2015 年 40 巻 1 号 p. 13-22

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抄録
本研究の目的は,矯正治療中の口唇顎裂もしくは口唇口蓋裂を伴う患者の保護者における心理状態や関心事を明らかにすることである。鹿児島大学医学部・歯学部附属病院矯正歯科を受診した口唇顎裂もしくは口唇口蓋裂を伴う未成年患者の保護者86名を対象とし,歯科衛生士による質問紙調査を行った。VAS法を用いた質問では,保護者を患者の発達段階により5群(幼児期,学童期・小学校低学年,学童期・小学校高学年,青年前期・中学生,青年中期以降)に分類し,VAS値の差を統計学的に検討した。質問紙調査の結果,矯正治療の必要性を知った時は,「悲しみと怒りおよび不安」の心理状態を示した保護者が最も多く,そのほとんどが「矯正治療が長期に及ぶ」ことによる「不安」であった。また,保護者は「顔貌」などの審美的項目に対して特に高い関心を示し,「社会生活の不安」についても関心が高かった。一方,「矯正治療の期間」や「矯正歯科での1回の診療時間」において,青年中期以降群の保護者は,幼児期や学童期群の保護者と比較して,VAS値が有意に高く,保護者は長期間の矯正治療と長い診療時間に関して負担に感じていた。「矯正装置のトラブル」においては,学童期・小学校高学年群の保護者は,小学校低学年群と比較して,有意にVAS値が高く,トラブルが多いと回答した。使用中の矯正装置の種類は,ほぼ同じであることから,治療が長期化することで,保護者はトラブルの負担を感じやすいことが示唆された。以上から口唇顎裂もしくは口唇口蓋裂を伴う患者の保護者は,特に審美的な問題について関心が高く,矯正治療の期間や診療時間が長いことに対する不安や負担の程度は,患者の発育段階によって異なることが明らかとなった。
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© 2015 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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