日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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特集1
遺伝子変異による甲状腺癌の再分類
加藤 良平
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2020 年 37 巻 2 号 p. 68-77

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抄録

近年は遺伝子変異に関する研究が急速に進み,多くの癌で遺伝子変異による診断,治療法の選択,予後の推定などが可能になっています。これまでの研究から,甲状腺癌には「遺伝子型-表現型関連 genotype-phenotype correlation」が存在することが分かってきました。そこで,ドライバー変異から甲状腺癌を大別すると,RET腫瘍,BRAF腫瘍,RAS腫瘍,PAX8/PPARG腫瘍,PAX8/GLIS腫瘍,APC腫瘍に分類され,さらにRET腫瘍は再構成と点突然変異群,RAS腫瘍はNRASHRAS群に細分類されます。例えば通常型乳頭癌は,RET腫瘍とBRAF腫瘍に入り,濾胞型乳頭癌はRAS腫瘍に分類されます。濾胞癌はRAS腫瘍とPAX8/PPARG腫瘍,硝子化索状腫瘍はPAX8/GLIS腫瘍,篩型乳頭癌はAPC腫瘍,髄様癌はRET腫瘍とRAS腫瘍に分類されることになり,予後不良な低分化癌や未分化癌はBRAF腫瘍,RAS腫瘍に属します。いずれの組織型でも既知の遺伝子異常が100%を占めることは無く,未知な遺伝子異常に関してはさらなる研究が必要です。しかし,この様な分類(考え方)は甲状腺癌への理解を深め,将来の診断治療に有用な基準となるかもしれません。

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