抄録
今回我々は,push back法による口蓋形成を施した片側性唇顎口蓋裂症例で,動的治療後12年経過した長期管理を経験したので報告する。初診時年齢14歳2ヶ月の左側唇顎口蓋裂の女性で,口唇形成術後,push back法により口蓋形成術を行い,その後矯正歯科治療を行った。動的治療開始時は,上顎骨の後方位,上顎歯列の前方および側方における重篤な狭窄,クロスバイトが認められた。動的治療終了後は,上顎骨の前後的位置関係に変化が認められず,上顎歯列は前方および側方に拡大され,クロスバイトが改善された。動的治療後12年経過した現在は,動的治療終了時と比較して骨格的変化は認められず,上顎前歯歯軸の舌側傾斜が確認された。