日本口蓋裂学会雑誌
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原著
粘膜下口蓋裂の臨床統計的検討
—第1報:診断と病態—
大湊 麗小林 孝憲児玉 泰光小山 貴寛五十嵐 友樹飯田 明彦小野 和宏永田 昌毅髙木 律男
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2016 年 41 巻 1 号 p. 24-30

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抄録

新潟大学医歯学総合病院顎顔面口腔外科において1982年から2012年の31年間に粘膜下口蓋裂と診断した84例を対象に,性別,出生時体重,初診時年齢,主訴,来院経路,合併症,Calnanの3徴候,治療内容および母親の出産時年齢について回顧的に検討した。なお,当科の粘膜下口蓋裂の診断基準は軟口蓋の筋層離開とした。
その結果,以下の知見を得た。
1) 性別は男性42例(50.0%),女性42例(50.0%)であり,性差はみられなかった。
2) 初診時年齢は生後9日から49歳にわたり,平均4.6歳であった。
3) 主訴は構音や言語発達などの言語の異常に関する訴えが最も多く,59例(70.2%)であった。
4) 当科への来院は小児科からの紹介が26例(31.0%),他院歯科が21例(25.0%)であり,両者で半数以上を占めていた。
5) 精神発達遅滞の合併は28例(33.3%)にみられた。
6) Calnanの3徴候がすべて確認された症例は62例(73.8%)であった。
7) 当科の初回手術は口蓋形成術とし,口蓋形成術を施行した症例は60例(71.4%),施行しなかった症例は24例(28.6%)であった。

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© 2016 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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