日本口蓋裂学会雑誌
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症例
顎裂内に脂肪腫を認めた1例
井村 英人古川 博雄久保 勝俊新美 照幸早川 統子佐久間 千里前田 初彦夏目 長門
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キーワード: 口唇口蓋裂, 顎裂, 脂肪腫
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2016 年 41 巻 1 号 p. 51-55

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抄録
脂肪腫は成熟した脂肪細胞からなる非上皮性の良性腫瘍である。脂肪腫の頭頸部領域における発生頻度は約2〜8%といわれているが,顎裂部に発生することはまれである。今回,我々は,顎裂部に脂肪腫を認めた一例を経験したので報告する。患者は9歳の男児で,出生時より,左側口唇口蓋裂を認め,5ヶ月時に左側口唇形成術,1歳8ヶ月時に口蓋形成術を施行した.9歳時に,顎裂部腸骨移植術の術前に撮影したCT写真で,境界明瞭,類球形の均一な低濃度域を認めた。左側顎裂および顎裂部腫瘤と診断し,顎裂部閉鎖,腸骨移植術および腫瘤の切除術を行った。病理学的診断は,脂肪腫であった。脂肪腫を一塊として摘出でき,再発も非常に少ないことから,顎裂部骨移植を行った。現在,術後2年が経過するが経過良好である。
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© 2016 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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