2019 年 44 巻 3 号 p. 175-181
本研究の目的は,孫の口唇裂・口蓋裂の告知から口唇形成術後までの祖母の心理状態を明らかにすることである。A病院に通院する口唇形成術後の孫をもつ父方・母方祖母に,孫の疾患告知後から口唇形成術後の心理状態について,半構造化面接を行った。対象者15人の逐語録について質的記述的分析を行った結果,4つのコアカテゴリーに分類した内の【孫に関連する心理的側面】について報告する。カテゴリーは〔孫の疾患に対するショック〕,〔孫の疾患から生じる苦悩〕,〔疾患のある孫の将来への心配〕,〔孫の疾患を認識することによる安心感〕,〔前向きな受け止めへの覚悟や決心〕,〔孫がもたらす幸せ〕の6つで構成された。
祖母は,孫の疾患に対して,可視的差異,間違った認識や偏見等により,ショックを受けていたが,「仕方がない」という前向きな受け止めで受容していた。
祖母は孫が疾患をもって生れてきたことに意味づけをすることで愛着や幸せを感じ,祖母としての役割を果たす気持ちが沸き起こり,孫や娘に寄り添い支援することができるといえる。口唇口蓋裂に関わる全ての医療者が,これらの祖母の特徴や役割を理解して,チーム医療を提供する対象者として認識し,対応する努力が必要であると考える。