抄録
福岡歯科大学医科歯科総合病院矯正歯科を受診した口唇裂・口蓋裂およびそれ以外の厚生労働大臣が定める疾患(以下,他の先天性疾患)をもつ患者の実態を把握する目的で,2002年4月から2019年3月までの17年間に当科を受診した先天性疾患患者を対象として臨床統計学的調査を行い, 以下の結果を得た。
1.過去17年間の口唇裂・口蓋裂患者は119名であり,他の先天性疾患をもつ患者は,17疾患で49名であった。
2.口唇裂・口蓋裂の裂型別頻度は,唇顎口蓋裂(43.7%),唇顎裂(26.9%),口唇裂(11.8%),軟口蓋裂(9.2%),口蓋裂(5.9%),粘膜下口蓋裂(2.5%)であった。
3.他の先天性疾患をもつ患者の内訳は,ダウン症候群が13名,ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む)が11名で,他の15疾患ではそれぞれ1〜4名であった。
4.口唇裂・口蓋裂と他の先天性疾患の患者数はともに増加傾向であった。
5.口唇裂・口蓋裂患者の初診時年齢の平均は9.3歳あった。また,他の先天性疾患をもつ患者の平均は12.5歳であった。
6.紹介元医療施設は,口唇裂・口蓋裂患者では, 福岡大学病院形成外科が74.8%を占めていた。また, 他の先天性疾患をもつ患者では, 福岡大学病院形成外科が59.2%,歯科診療所が22.4%の順であった。
7.口唇裂・口蓋裂患者の不正咬合の頻度では,occlusal anomalies(上下顎歯列弓関係の異常)を有する患者は56.3%,space anomalies(歯列弓内の異常)を有する患者は84.0%であった。また,他の先天性疾患をもつ患者では,occlusal anomalies を有する患者は55.1%, space anomaliesを有する患者は93.9%であった。
8.口唇裂・口蓋裂患者における交叉咬合の分類では,歯列弓全体に交叉咬合を認めないType1が56.3%と最も多かった。